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新型コロナ補償、必要な人に届く仕組みを

鷲尾香一|2020年5月8日10:32AM

このほかにも、政府の臨時休校要請に伴い仕事を休んだ保護者への補償でも、対象から風俗営業の従事者が除外されている。

つまり「接待が行われる飲食業」や「性風俗」に関わる、いわゆるホステスやホスト、キャバクラ嬢、性風俗従事者は対象外となっているのだ。

この点について、加藤勝信厚生労働大臣は、「雇用関係の助成金全般で、風俗業関連は支給しないことになっており、休業対応の支援金も同様の扱いとなっている。現在、その取り扱いを変える考えはない」と述べている。

しかし、ホステスや性風俗従事者の中にはシングルマザーも多く、こうした人たちこそ休業補償が必要なのではないか。

厚労省は、「風俗営業法上の許可を得ている事業者であっても、公金を使って助成するのはふさわしくないと判断した」としている。

だが、「風営法上の認可を取っている」ということは、政府が「違法ではない」という“お墨付き”を与えているわけで、それが「なぜ公金を使って助成するのはふさわしくない」のか、納得できる説明が必要だろう。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で収入が減少した世帯などへの現金給付であれ、臨時休校要請に伴い仕事を休んだ保護者への補償であれ、支援というのは支援が必要な人に行なわれるべきであり、「本当に支援が必要な人に、支援の手が差し伸べられない仕組みの支援」であれば、“意味がない”に等しい。

政府は、本当に支援が必要な人に支援できる方法なのかを今一度、見直す必要があるのではないだろうか。

(鷲尾香一〔本名・鈴木透〕・元ロイター通信編集委員。2020年4月10日号)

編注:安倍晋三首相は4月16日、新型コロナウイルス対策として全国民を対象とする一律10万円の現金支給を盛り込むため、2020年度補正予算を組み替えるよう、岸田文雄政調会長に指示した。世論の強い反発を受けたためとされるが、支給までに時間がかかることが批判されている。

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