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「桜」招待の企業代表の財団、訴訟中に「公益」認定のナゾ

片岡伸行|2020年4月11日11:11AM

公益認定等委員会(佐久間総一郎委員長)が2019年6月5日付で安倍晋三首相に提出した「答申書」。クローバー財団は「公益認定の基準に適合する」との内容だ。(撮影/片岡伸行)

【公益認定と“隠れ蓑”】
この“実績”をもってクローバー財団は19年になって内閣府に「公益認定」の申請をする。一般財団法人から公益財団法人へと“格上げ”するためだが、単に「格を上げる」だけではない。一般財団法人だと税制優遇はないが、公益財団法人になると数々の優遇措置を受けられる。

この申請を受けて、内閣府は同年5月22日に「公益認定等委員会」に諮問。7人の委員による審議の結果、公益認定委は6月5日付で「公益認定の基準に適合すると認めるのが相当」とする「答申書」を安倍総理に提出した。

「公益法人三法」に詳しい弁護士はこう指摘する。

「財団の自由な活動を促進させるのが法改正の狙いだが、公益財団・公益社団についてはそれを“隠れ蓑”にさせないために第三者機関である公益認定等委員会を作り、審査手続きを設けた」

税制優遇の「隠れ蓑」かどうかなどを審査するのが、公益認定委だ。公益認定法5条には「認定基準」、6条に「欠格事由」が定められているが、公益認定委は「マルチ商法」被害で訴訟を起こされている企業の代表者が設立した財団法人であることを知りながら「公益認定」をしたのだろうか。

【首相と懇意の認定委員長】
公益認定委の委員長は日本製鉄常任顧問の佐久間総一郎氏である。同氏は19年4月1日に同委員会の委員に就任。同年10月には内閣府の規制改革推進会議の委員にも就いた。同年11月19日には安倍首相と元経団連会長でホテルニューオータニ取締役の今井敬氏らと会食している。同日の『朝日新聞』〈首相動静〉欄にこうある(抜粋)。

〈午後6時45分、東京・紀尾井町の日本製鉄紀尾井ビルディング。「紀尾井倶楽部」で日本製鉄の今井敬名誉会長、佐久間総一郎常任顧問らと食事〉

認定基準について公益認定等委員会事務局に聞くと「個別の審議内容は非公表です」。そこで3月中旬、情報公開法に基づき、議事録の開示請求をした。合わせて、クローバー財団に取材を申し込んだが、淡路氏の代理人から「取材には応じない」との連絡がきた。

(片岡伸行・記者、2020年4月10日号)

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