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『朝日』元記者裁判、控訴審開始 
西岡力氏の失態がさらに浮上

徃住嘉文|2019年11月18日11:22AM

10月29日弁論後に会見する(左から)神原元弁護士、植村隆氏、穂積剛弁護士。(撮影/高波淳)

元朝日新聞記者植村隆氏(本誌発行人)は10月29日、日本軍「慰安婦」問題否定派の西岡力氏に対する名誉毀損訴訟の東京高裁第1回口頭弁論で、新証拠に基づく西岡氏の事実誤認を明らかにした。

新証拠は1991年11月、弁護士による韓国の元「慰安婦」キムハクスン(金学順)氏への聞き取り調査を録音した取材テープ。植村氏は同年12月25日、「証言テープを再現する」というキム氏の記事を書き、西岡氏はそれを「キーセンに売られたという事実を意図的にカットしている。(中略)聞き取りでもその事実は語られたはずだ。(同)。捏造」と著書で非難した。キーセンの「経歴」から日本軍の強制連行を否定する趣旨だ。

ところが2時間にわたるテープで、キーセンに売られた話はまったく出てこない。

「証言テープにないことを記事で再現しようがない。西岡氏は『語られたはずだ』という推測の材料しかないのに、なぜ捏造と断定できるのか」というのが植村氏側の主張だ。

弁護団の神原元弁護士は意見陳述で戦時性暴力への世界の認識という点から、植村氏を敗訴にした東京地裁一審判決を批判した。

「28年前に植村氏が聞いたのは、戦争当時17歳の少女が受けた、生々しい、戦時性暴力の被害証言です。性犯罪の被害者の証言を記事に書く際に、『彼女は実は公娼(すなわち売春婦)だった』等と普通書くでしょうか。(中略)記事を『捏造』だ、などと決めつけるのは、事実としても、歴史としても、そして、倫理的にも、誤ったことであります。戦時性暴力に厳しく向き合うのは90年代以降の世界の趨勢であり、性暴力被害証言を歪める東京地裁の判決は、まさに世界の恥さらしであります」

西岡氏は、重要な事実において自分に間違いはない、と反論した。次回は12月16日。

(徃住嘉文・報道人、2019年11月8日号)

 

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