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『愛媛新聞』が『月刊Hanada』広告を一部黒塗り掲載

伊田浩之|2019年2月18日3:17PM

『Hanada』の広告。下が『愛媛新聞』掲載版。(同誌ツイッターより)

『愛媛新聞』1月28日朝刊に月刊『Hanada』(飛鳥新社、花田紀凱編集長)3月号の広告の一部が黒塗りで載った。黒塗り部分は、「告発レポート 中村愛媛県知事に重大疑惑」と銘打ち、中村時広知事の写真を組み合わせていた。

地元民放の関係者が話す。「中村知事批判の記事を読んで肩すかしを受けました。2013年当時、松山市長だった中村氏の環境汚染問題への対処と、加計学園問題を結びつけていますが、中身は古くて薄い。どうでもいい記事で、なぜ黒塗りになったのか謎ですね」

同誌によると、発狂や腹上死など特定の単語が問題視され、広告の一部を伏せ字にしたことはあるが、ひとつの記事部分が真っ黒となったのは初めて。「全国紙にも広告を出しますから地元紙だけ黒塗りでも意味がない。中村知事をおもんぱかってじゃないかと思わざるをえません。知事の権限は大統領なみに強いので、地元紙との癒着や腐敗があるのではないかと感じています」(花田編集長)

愛媛新聞社(土居英雄社長)の内部事情に詳しい人は「黒塗りが話題となり愛媛県内で同誌が売れている。県側から『話題になって逆に迷惑』との声も届いているようです。新聞購読を止めるとの連絡もありますが、問題視する社員は少数らしく、自由に議論できる雰囲気ではない」と話している。

田島泰彦元上智大学教授が批判する。「誹謗中傷にはあたらないでしょう。広告も情報であり、黒塗り掲載は公器である新聞が言論表現の自由を抑圧するかのような対応で、かなり厳しく批判されるべきだと思います」

黒塗りの理由や土居社長の関与の有無など愛媛新聞社に7項目の質問を送ったが、期限を延長したのに4日経っても回答がない。報道機関として信じがたい対応で、これでは信頼を落とすだけだろう。

(編集部・伊田浩之、2019年2月8日号)

追記)黒塗り掲載となった理由などについて、愛媛新聞社(本社松山市、土居英雄社長)に7項目の質問を2月1日にファクスで送りましたが、回答期日の4日を過ぎても返答はなく、校了日の5日になって「6日午前に回答する」との連絡がありました。このため、この記事では「回答なし」とせざるをえませんでした。

その2月6日、同社経営企画部の部長から口頭で回答がありましたので紹介します。
〈愛媛新聞広告倫理綱領の「他を中傷、ひぼうし、また他人の名誉を傷つけ秘密を侵すおそれのあるもの。」に基づき、愛媛新聞社として判断しました〉
(全文は https://www.kinyobi.co.jp/news/?p=4100 に掲載)

また、「問題視する社員は少数」と書きましたが、愛媛新聞労組の意見集約には100件以上の声が寄せられたそうで、上層部への厳しい批判も多いようです。『愛媛新聞』はもともとリベラルな社風でした。自浄作用に期待します。

 

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