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アート界の#MeToo、36大学がセクハラ定義ビラ配布に同意

宮本有紀|2018年11月23日7:00AM

「#NotSurprised」の公式書簡の日本語版ビラ

米国のアート界では、#MeToo運動の波に乗り、これまで性差別やセクシュアルハラスメントについて沈黙を保ってきた被害者、目撃者たちが次々と声を上げ始め、「アート業界の#MeToo」として、セクハラをなくす活動「#NotSurprised(#私たちは驚きません)」が始まった。

日本からは社会派アートグループの「明日少女隊」と、オンラインマガジンhoneyhandsがコラボレーションして参加。「日本のアート界では、女性へのセクハラがあたかもアートの一部であるかのように語られ(略)セクハラ被害があとを絶ちません」として、被害をなくすため正しい知識を広めようと、セクハラの定義を書いた日本語版ビラをつくり美術大学や美術館、ギャラリーに無料配布するための資金を集めるクラウドファンディングを今年5月に始めた(本誌5月11日号で既報)。

6月13日までに49人が応じ26万5000円が集まったという。11月現在、ビラ配布を依頼した大学は39校で、うち36校がビラ配布に同意。すでにビラがなくなった大学もあり、明日少女隊の尾崎翠さんは「ビラ配布を渋る学校も多かったが、生徒からのニーズは高かったのではないかと感じている」と話す。

「セクシャルハラスメントの定義」

尾崎さんはプロジェクトを進めながら、美術大学を出た女性たちに話を聞いてみたところ「セクハラ被害にはあったことがない」と答える人が多かった。だが、明日少女隊のブログに体験などを書いたら、これもセクハラと呼んでいいの? それなら経験がある、という声が多く寄せられたという。

「多くの女性が、自分の感じている不快感がセクハラによるものだと認識できていない」と尾崎さんは指摘する。以下は明日少女隊の隊員が聞いた女性たちの体験だ。

・役者になるなら人生経験が豊かでないといけないと言われ、役者仲間から性的な関係を強要された

・芸術大学の妻子持ちの教授に追いかけられ、性的な関係をほのめかす電話が毎日かかってきた

・「男だったらもっと人気が出てくるのに。このままの作品で男だったらいいのにな」と言われた

・「東京でアートを売りたいなら、銀座のキャバクラで働いてギャラリーのオーナーと仲良くなるしかない」と言われた

活動は今後も続けるという。ビラ配布の大学名やプロジェクトの詳細はhttp://ashitashoujo.com/post/167056923332/notsurprised1で読める。

(宮本有紀・編集部、2018年11月16日号)

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