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「残留孤児」が墓地求め記念碑建設で募金キャンペーン あの世での居場所が欲しい

2017年12月13日10:16AM

駅頭から自治体キャラバンへ。11月23日、神戸市のJR元町駅前。(撮影/たどころあきはる)

「中国残留孤児」となっていた日本人らで組織する兵庫県中国帰国者の会(植田恒陽代表)は11月23日、兵庫県神戸市のJR元町駅前で、「あの世での居場所が欲しい」と、「共同墓地と記念碑」建設・活動支援への募金活動を行ない、キャンペーンを本格化した。

同駅頭では、植田代表をはじめ、帰国者や弁護士などの支援者らが、「仲間と一緒に入れる共同墓地をつくり、残留孤児の苦難の歴史を碑文(銘文)に刻んだ記念碑を」と訴え、物心両面での協力を呼びかけた。

「日本人として、日本の地で、人間らしく生きる権利」を掲げて、全国15地裁・約2200人の原告で闘われた国家賠償請求訴訟のうち、兵庫訴訟が神戸地裁で2006年12月に勝訴。これを契機に、帰国「日本人孤児」への新支援策が2007年から実施された。

だが、その適用は帰国1世のみで、呼び寄せ家族(私費帰国者)らは対象外とされ、高齢化が進む中で、介護、医療・福祉をはじめ、種々の問題点が表面化してきた。

「あの世での居場所」もその一つ。

日本政府は、日中国交正常化後も、早期帰国政策をとらず、身元保証人を義務づけるなど、事実上、帰国を妨害したため、残留孤児たちは、高年齢での帰国を余儀なくされた。加えて、帰国後の日本語習得支援もきわめて不十分だったため、まともな就労ができず、低所得者が圧倒的で、生活保護世帯も珍しくなかった。帰国2世らも含めて、ほぼ同様の状況で、そのため自力での墓地建設が困難な状況が続いている。

事態の改善を求め、今夏までに用地は神戸市からの無償貸与で、垂水区の舞子墓園の一角に確保できたものの、建設・運営資金のめどは立っておらず、今後は街頭のほか、各自治体などへの要請キャラバンにも取り組む考えだ。「歴史」を語り継ぐためにも。

(たどころあきはる・ジャーナリスト、12月1日号)

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