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大阪地裁の靖国参拝判決――憲法判断せず「政権に媚」

2016年2月18日6:17PM

安倍晋三首相による2013年12月の靖国神社参拝は憲法の政教分離原則に反し、信教の自由や平和的生存権を侵害するとして、戦没者遺族ら765人が安倍首相と国、靖国神社に損害賠償などを求めた訴訟の判決が1月28日、大阪地裁(佐藤哲治裁判長)であった。判決は憲法判断を避けて参拝の公私には触れず、「法的利益の侵害は認められない」として請求を棄却した。原告側は控訴する。

今回の訴訟は歴代首相の靖国参拝と違って、安倍首相が集団的自衛権行使を容認し安保法制を整備するなど憲法の平和主義に背いて「戦争できる国」への道を急ぐ状況にある。原告らは、かつて戦死を美化して国民を戦争へ駆り立てた靖国神社に安倍首相が参拝することを「戦争への準備行為」と位置づけ、憲法前文がうたう「平和のうちに生存する権利」を前面に出して訴えた。

判決は信教の自由などの侵害について、首相の靖国参拝は「他人の信仰生活などに圧迫や干渉を加える性質のものではない」とし、安倍首相が参拝後に「過去への痛切な反省の上に立って」と発言したのに照らして「参拝が合祀者の死を『国や天皇のために喜んで死んだ』と意味づけるものではない」と断定。平和的生存権についても「理念的・抽象的な権利であり、保障すべき具体的権利性はない」として退けた。また、小泉首相靖国訴訟で福岡地裁(04年)と大阪高裁(05年)が「違憲」と判断したことにより、原告が抱いた首相の憲法擁護義務に対する期待権について、「その後の社会・経済情勢の変動などによって裁判所の判断が変わりうる」として認めなかった。

判決を受けて原告団は「憲法秩序を破壊する現政権に媚を売るだけでなく、行政の違憲行為をチェックする司法の責任を放棄するものだ」との抗議声明を出した。安倍首相の靖国参拝は東京地裁にも提訴され、第7回口頭弁論が2月19日に予定されている。

(平野次郎・フリーライター、2月5日号)

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