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訪問勧誘規制の特商法見直し論議で消費者庁叩き――自民・読売のお笑い二人羽織

2015年7月22日11:59AM

マスコミへの「二重基準」が露骨な自民党。(東京・千代田区の党本部、撮影/野中大樹)

マスコミへの「二重基準」が露骨な自民党。(東京・千代田区の党本部、撮影/野中大樹)

要請のない勧誘行為(不招請勧誘)に規制をかけようとする消費者庁の動きに、自民党と読売新聞社が阻止にむけたスクラムを組んでいる。

本誌は6月19日号本欄で、消費者庁が検討している特定商取引法の改正について報じた。訪問勧誘への苦情は新聞がもっとも多く、とりわけ読売新聞社への苦情件数が業界トップであったこと。また6月10日に消費者庁で行なわれた専門調査会では、規制反対の弁を打った読売新聞社の山口寿一東京本社社長に対し、疑問の声や質問が続出したことなどだ。

立つ瀬のない読売新聞社は、かっこうの反撃材料を見つけたのだろうか。同調査会から5日後の15日、消費者庁の板東久美子長官と消費者委員会の河上正二委員長、そして山口俊一内閣府特命担当大臣宛に「抗議書」を送りつけた。調査会で、山口社長の発言中に「笑った委員がいた」というのだ。

「複数の委員らが声をあげて笑う場面が複数回にわたって続き(中略)新聞協会の代表として山口を出席させた当社としては、極めて遺憾です」(抗議書一部抜粋)

筆者も当日は会場内にいたため状況は覚えている。山口社長の前に、新聞協会販売委員会委員長の寺島則夫氏が「一度営業に行きまして、もう来ないでねというところには行かない」と発言し、その後に、山口社長はこう述べていた。「新聞の勧誘の現場ではさまざまな接触のやり方があって、断られたけれども、とっていただくということも現実には多々ある」。

この時、たしかに笑い声があがった。それは再勧誘の禁止について両者の発言が矛盾していたからであり、筆者も思わず失笑した。

笑う理由はあったのだ。

【自民党が助け船か】

7月2日、自民党本部7階では内閣部会・消費者問題調査会合同会議が開かれた。議題は特商法見直しについてだったが、実質、自民党と読売新聞社による消費者庁バッシングの場だった。

山口社長は「(規制は)アベノミクスや地方創生に逆行する」と安倍晋三首相に秋波を送り、続いて発言した永原伸社長室長が口火を切る。「専門調査会の議事運営について、ヒアリングの際に一部委員が机に突っ伏して笑うということがあった」。これに出席議員らが「けしからん!」と声をあげ、当日の映像が流されることに。

映像放映後、西田昌司参議院議員(細田派)が「消費者庁の責任だよ。笑っているのは誰なんだ」と声をあげ、薗浦健太郎衆議院議員(麻生派)は「笑った専門委員に(消費者庁は)笑った理由を確認したのか。こんな専門調査会の意見では誰も信用しない」と続けた。ちなみに薗浦議員は元『読売新聞』政治部記者である。「消費者庁の方針に賛成する意見がなかったことを重く受け止めるべきだ」と発言した北村経夫参議院議員(細田派)も、元『産経新聞』政治部長という経歴だ。

しかもこの日は「笑った」論にとどまらず、消費者委員会のありかたにまで踏み込む発言が出た。元大阪府知事で元通産官僚でもある太田房江参議院議員(同)は、「消費者委員会(本委員会)は全員消費者側委員であり、業界側の委員が入っていないのは問題。業界側の委員を入れるべき」と述べ、中川雅治参議院議員(同)も「消費者庁は消費者側に一方的に進むのは危険である」と同調した。

「消費者保護とビジネスのバランスを取る」(森まさこ参議院議員、同)と言いたいのだろうが、消費者委員会は、消費者庁がそのレゾンデートルである「消費者目線の行政」をきちんとやっているかをチェックする機関として発足している。その委員会に事業者が入るのはお目付け役に「泥棒」が就任するようなものではないか。

安倍政権を応援する新聞社は「健全な事業者」として守り、『沖縄タイムス』『琉球新報』をはじめとする政権に批判的なマスコミには「圧力」をかける――これが自民党の姿か。自民・読売のお笑い「二人羽織」は、もう少し続きそうである。

(野中大樹・編集部、7月10日号)

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