自衛隊配備賛否を問う与那国島住民投票――反対派は選挙過程も疑問視
2015年3月11日6:36PM
与那国島(沖縄県八重山諸島、以下、与那国町)への陸上自衛隊沿岸監視部隊配備の賛否を問う住民投票は2月22日に投開票され、配備賛成632票が反対445票を上回った。総人口1479人のうち当日有権者数は1284人で、中学生41人、永住外国人5人、高校生以上の未成年56人もここに含まれた。投票者総数は1094人、投票率は85・74%で、有効投票総数は1077票だった。
誘致・推進派の外間守吉町長は同日の会見で結果に「安堵した」と述べ、「今後は防衛局、防衛省を含めながら、行政運営がスムーズにできる」と語った。沖縄防衛局は昨年5月に造成工事に着手しており、2016年3月末までに配備完了、約150人規模の自衛官を配置する予定だ。住民投票の結果に法的拘束力はないが、「民意」が示されたことで「国境の島」の軍備強化は着実に進む。
「この島の選挙は熾烈です。負けた側が立ち直るのは容易ではない」(地元関係者)と反対派には暗澹とした雰囲気が漂うが、一方では投票の過程を疑問視する声も上がっている。「選挙管理委員4人のうち3人は推進派」(住民投票を成功させるための実行委員会)との指摘があり、有権者のひとりは「こうした閉鎖性の強さが行政への不信を招く」と不満を滲ませる。
与那国町の自衛隊誘致は、与那国防衛協会(金城信浩会長)が08年9月5日、外間町長と町議会に514人分の署名を提出し誘致を要請したことが発端だった。同19日に町議会が賛成多数で自衛隊誘致決議案を可決し、現在に至る。
誘致・推進派は「経済活性」を強調するが、同部隊の監視レーダーによる電磁波が生体に与える影響について町と防衛省が実施した住民説明会は今年1月16日のみ、住民間には懸念が高まっている。実行委は選挙過程の検証委発足や工事差し止め訴訟などを視野に入れ「反対」姿勢を貫くとしている。
(内原英聡・編集部、2月27日号)