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石破幹事長が長時間労働奨励か――「一週間寝ないでも大丈夫」

2013年8月1日4:48PM

 七月六日夜、岩手入りした石破茂自民党幹事長は県北部の洋野町での田中しんいち候補(自民党公認)の街頭演説で、問題発言をした。石破幹事長は「田中しんいちはスポーツマンです。(中略)ラグビーをしていた男ですから、一週間寝ないでも大丈夫なそうです」と紹介した上で、隣にいる田中候補の方を見て「大丈夫だな!」と確認。田中候補が否定しないのを見ると、こう続けた。「目一杯働きます。他の人の二倍、三倍、働きます。当選したら踏ん反り返るような田中しんいちではありません。一週間寝ないでも大丈夫です。目一杯使ってやってください!」。

岩手で街頭演説する石破幹事長(右)と田中しんいち候補。長時間労働を宣言。(撮影/横田一) 石破幹事長は労働基準法の規定を遥かに上回る長時間勤務を候補者に約束させたわけだが、岩手選挙区(一人区)は激戦区の一つとはいえ、問題ではないか。そこで、田中候補に「一週間寝ないと過労死するのでは」と聞いてみたが、「秘書時代もそういう生活をしていましたから」と容認をした。

 ちなみに自民党は「二四時間死ぬまで働け!」と理念集に掲げた渡邉美樹・ワタミ前会長を公認。ワタミ入社二カ月後に過労自死した女性社員の遺族が、渡邉前会長の公認取り消しを石破幹事長に求め、要請文を手渡そうとしたのはこのためだ。しかし自民党は面談に応じず、党職員が要請文を受け取るだけの不誠実な対応に終始した。遺族の森豪さんはこう話す。

「長時間労働による過労死が問題になっている時に、このような発言をするとは、時代感覚・社会感覚が疑われます。渡邉前会長の理念を石破幹事長もこの候補者に求めているのではと思い、ぞっとしました。政治家も過労死に気を付けるべきです。寝ないで、考えることもせず、人間らしい生活もせずに、どんな政治ができるのでしょうか」。

 ブラック企業の問題に取り組む姿勢がみられない自民党が“ブラック政党”宣言をしたに等しい。

(横田一・フリージャーナリスト、7月19日号)

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