考えるタネがここにある

週刊金曜日オンライン

  • YouTube
  • Twitter
  • Facebook

【タグ】

雨降って地ぐちゃぐちゃの民主党――すでに「次」を見据えた野田内閣始動

2011年9月20日6:09PM

今から「次」を見越して胎動する永田町で、来年度の予算編成は可能か。(提供/AP・AFLO)

「適材適所の内閣として、私が考えさせていただいた」

 九月二日に新内閣が発足し、野田佳彦首相は誇らしげに述べている。しかしその面々を見て、首をかしげる政界関係者は多かった。

 たとえば財務相人事だ。安住淳前国対委員長が就任すると聞いて、金融財政に強いある政務三役経験者は「あり得ない!」と叫んだという話がある。

 その財務相に当初有力視されていたのが、岡田克也前幹事長だった。実際に『読売新聞』は、「財務相内定」と打っている。ところが蓋を開けると、岡田氏の入閣はなし。これについて永田町での一般的な解釈は次の通りだ。

「岡田さんは幹事長職を辞した後、しばらく『休む』つもりだ。菅直人前首相を降ろす際に党内で相当の批判を受けたのがその理由。『次』を狙うなら、ほとぼりを冷ます方がいいと考えた」

 だがその理解は表面的にすぎない。八月二五日に行なわれた最後の幹事長定例会見で、岡田氏は「やりたいことがある」と無役になることをほのめかした。しかし記者から「具体的に何をしたいのか」と尋ねられると、「これから決める」と返答している。すなわち岡田氏自身、本心では無役になるとは思わなかったのではないか。これについて次のような証言がある。

「野田さんは岡田さんに電話もしなかったらしい。無役にしろ、意向を聞かずに無視したということだ」

 なるほど組閣の面々を見ると、数の上で各グループの“公平さ” を担保している。ただし仙谷由人元官房長官や岡田氏など有力者を排除し、小宮山洋子氏の厚労相就任など「小粒の重要閣僚」が目立つ構成になっていることは否定できない。

「野田首相はこの内閣で、はたして来年度の予算編成を乗り切れるとでも思っているのか」

 このように危惧する声は決して小さくない。

 ただし世論は野田内閣におおむね好意的だ。『朝日新聞』の調査によると、内閣支持率は五三%、民主党の政党支持率は三一%に回復。日経連など財界も、保守を標榜している野田新首相を歓迎している。しかしその裏側に、石もて追われるように官邸を去った菅前首相への嫌悪感がある点を忘れてはならない。

 民主党内の現状も、「雨降って地固まる」といえる状態ではない。

 特に当初は「小沢一郎氏が陰で支援している」と言われた鹿野道彦勢は、海江田万里前経産相を推した小沢氏や鳩山由紀夫元首相に強い不信感を持っている。鹿野グループのメンバーがこう明かす。

「鹿野さんが三位以下で決選投票となった時、当初は二度目の投票は海江田さんに入れることになっていた」

 だが代表選が始まると、鹿野陣営に小沢氏からの横槍が入った。

「山岡賢次さん、奥村展三さん、山田正彦さんなどは最初に鹿野さん支持の三五名に入っていた。ところが小沢さん側から鹿野さん支持の禁止命令が出て、鹿野さんから離れざるをえなくなった」

 実際に他のメンバーも、鹿野選対に行く途中に小沢氏サイドから電話で参加を止められ、二度と行けなくなったという。

「小沢さんが出ない代表選なので、誰を支持しようと自由だと思った。放っておいてくれたら、決選投票は海江田さんに入れた。だけど小沢さんは中間派の票が大量に鹿野さんに流れると危惧して、われわれに圧力をかけてきた」

 自民党が元気な頃の派閥とは異なり、民主党では原則としてグループのトップから氷代や餅代が支給されることはない。カネという縛りがない以上、トップのカリスマ性が消えると人心が離れるのは当然だ。

 八月三一日、鹿野グループが発足し、代表代行には鳩山グループの重鎮・大畠章宏前国交相が就任した。今後さらに鳩山グループからの参加が見込まれるという。

 このように衆院議員の任期の折り返し点にきた今、永田町は次の総選挙に向けて動き出している。それを指揮するのは野田首相であるとは、誰が保証できるだろうか。

(天城慶・ジャーナリスト、9月9日号)

【タグ】

●この記事をシェアする

  • facebook
  • twitter
  • Hatena
  • google+
  • Line

電子版で読む

  • Download on the App Store
  • Google Playで手に入れよう

金曜日ちゃんねる

おすすめ書籍

書影

『週刊金曜日』2019年11月28日臨時増刊号

まるごと山本太郎 れいわ新選組

発売日:2019/11/28

定価:800円(税込)

書影

エシカルに暮らすための12条 地球市民として生きる知恵

古沢広祐(ふるさわ・こうゆう)

発売日:2019/07/29

上へ