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消費者保護の理念に逆行する最高裁――賃貸更新料に「有効」判決

 マンションなど賃貸住宅の契約更改時に、「更新料」の支払いを義務付けることの是非を巡って争われていた三件の上告審判決で、最高裁第二小法廷(古田佑紀裁判長)は七月一五日、借り手側の返還要求を退け、契約自由の一般原則に立って、「高額でなければ有効」とする初の判断を示した。関西発の三事件で大阪高裁では、更新料無効が二件、有効が一件と、ほぼ無効が優勢であったが、社会的弱者である消費者保護の流れは最高裁で水を差される形となった。

 最大の争点は、賃貸借契約書に盛り込んだ更新料が、消費者契約法一〇条で無効とされる「消費者の利益を一方的に害する契約条項」に当たるかどうかだった。同小法廷は「更新料の支払いによって、賃借人は円満に物件の使用を継続できる」として、賃料の補充や前払い、契約継続の対価などの趣旨を含む「複合的な性質」を有する更新料の支払いに「経済的合理性」を認めた。

 借家法では、正当な事由がなければ更新を拒絶できず、解除権は制限されると明確に規定している。また、更新料が賃料の補充や前払いなら、退去時に応分の返還は当然のはずだが、この点でも判決は矛盾しており、借り手側では「緻密に判断せず、意味不明瞭の一時金を認容した判決」と反発する。

 被告の立場にあった「長栄」の長田修社長(更新料問題を考える会代表)は、自社で一五〇〇室を所有するほか、二万戸を管理する京都でも最大級の管理会社。持つ者と持たざる者の力関係は歴然としており、労働者には労働法による保護があるのと同様に、借り手にも消費者契約法が一〇年前に施行されていた。今回の最高裁判決はこの点を全く無視して、「一般民事法のルールを優先させ、弱者救済の使命を放棄した」と、長野浩三弁護士は強調する。

 もともと、更新料など賃料以外の名目で支払わせる各種の一時金は、戦後の住宅難の時代に、地代家賃統制令の脱法行為・抜け道として編み出されたのがルーツで、貸主側の巻き返し策の一環だった。

 判決後の記者会見に、貸主側は「全面勝訴」の垂れ幕を背に臨んだが、借り手側は「逆行判決に抗議し、あるべき適正契約を訴え続ける」と声明を発表。持続的な判例変更の闘いを宣言した。

(たどころあきはる・ジャーナリスト、7月22日号)