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下請け労働者の権利・補償を質問 冷たい東電労組と電力総連

2011年8月1日5:38PM

 脱原発を求める市民団体「福島原発事故緊急会議」は六月二九日、東京電力労組と全国電力関連産業労働組合総連合(電力総連)を訪れ、二〇日に提出していた申し入れ書への回答を求めた。

 申し入れ書では、福島第一原発で作業に従事する下請け労働者の健康管理や、雇用責任・補償責任などについて質問していた。

 二〇日、市民団体の三人に対し東電労組は申し入れ書の受け取りを拒否した。電力総連では内田厚事務局長が対応し話し合いを実施。二九日に話し合いの継続を約束した。また、内田氏は「申し入れ書を東電労組に渡しておく」「二九日の話し合いには東電労組も同席するよう話す」と約束していた。

 その後二七日、申し入れした責任者、岩下雅裕さんに内田氏から「東電労組に申し入れ書は渡したが、話し合いの場には同席できない」という返事の電話があった。

 そして二九日、申し入れ書への回答を得るべく緊急会議のメンバーはまず東電労組を訪れたわけだが、出てきた担当者は「(申し入れ書は)受け取ったのか確認できない」「敷地内から出てくれ」の一点張り。埒があかず、一行は電力総連本部へ。

 しかしここでも組合員が立ちはだかり、結局岩下さんはじめ六人のメンバーが内田氏から回答を得ることになった。マスコミ関係者には非公開。

 岩下さんによると、内田氏は東電労組に「(申し入れ書は)ファクスで送った」という。また、原発を動かしているのは電力会社であり、電力総連は申し入れを受ける立場にはないと話したという。

 しかし本誌五月一三日号「原発推進の連合、背後に電力総連あり」でも明らかにしたように、原発を推進してきたのは電力会社と労使一体化した電力総連。「受け取る立場にはない」という説明は説得力に欠ける。岩下さんは「労組が第三者的な立場をとることは許されない」と話している。

 海外メディアによると七月二日、フランス最大の原発・トリカスタン原子力発電所の変電所が爆発。一時運転が停止した。現在のところ負傷者、死者は報告されていない。同原発では頻繁に事故が起きており、周辺住民は恐怖感を覚えているという。電力の八割近くを原子力に頼るフランスでは、福島原発事故後、原発の老朽化などが指摘されていた。事故収束に従事する労働者の被曝も懸念される。
(野中大樹・編集部、7月8日号)

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