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子牛ぐらいの6頭をうちとる──カナダ=エスキモー7(本多勝一)

カリブー8頭のうち6頭が倒され、解体される。

ところが、カリブー(トナカイの一種)の1頭は銃声とほぼ同時に立ちすくんだ。重傷らしい。あとはバラバラに逃げる。右へ2~3頭、左へ4~5頭。3人のエスキモーたちの銃口が次々と連発する。カリブーの肌に命中する音。同時に倒れる者、後脚をひきずって立ちどまる者。きわ立って大きくのびたツノの1頭は、50メートルと走らぬうちに1発で倒され、うずくまった。

3人はそこで立ちあがり、なおも逃げている4頭を追う。全8頭が全滅かと思ったが、2頭だけは雪原のかなたへ消えた。

うちとった6頭のうち、3頭は即死、あとは負傷のまま立ったりすわったり。後脚をやられた1頭に近づいたイスマタは、手にした石の一撃で倒すや、ナイフで首にとどめを刺す。ほかの2頭も、カヤグナとムーシシが石やナイフで息の根をとめた。ムーシシは、ナイフについたカリブーの血を、惜しそうに舐めている。

藤木さん・カヤグナ・ムーシシの3人が犬ゾリをとりに行った間に、イスマタと私は倒したカリブーを一カ所に集める。ツノや脚をつかんで2人で引っぱり、雪面をひきずる。かなり重い。日本の野生シカよりずっと大きくて、子牛くらいはある。この6頭はみんなオスだった。

そのツノを握ってみたとき、ツノについての私の知識が全く誤っていることを知った。(一部敬称略)

(ほんだ かついち・『週刊金曜日』編集委員)

※この記事は現在、本多編集委員がかつての取材をもとに『週刊金曜日』に毎週連載しているものです。カナダ=エスキモーの連載は1963年に『朝日新聞』に掲載され、後に単行本や文庫本にまとめられています。