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中国「残留孤児」勝訴10周年――国の責任で真の救済策を

「戦後民主主義が問われている」と、神戸大学の浅野慎一教授。(撮影/たどころあきはる)

「戦後民主主義が問われている」と、神戸大学の浅野慎一教授。(撮影/たどころあきはる)

「日本人として、日本の地で、人間らしく生きる権利を」と、中国「残留孤児」たちによる国家賠償請求訴訟の神戸地裁勝利判決から10年。その記念集会が12月4日、神戸市内で行なわれ、全国から約260人が集い、「残された課題は多い。全国的な団結強化で国の責任を明確にし、真に帰国してよかった、と言える諸施策の拡充を」と、決意を新たにした。

同種の訴訟は当時、国を被告として全国15地裁、約2200名の原告で闘われたが、原告65名の関西訴訟(神戸地裁)が唯一の勝利判決。平和と民主主義、基本的人権の擁護を謳う憲法理念に照らして、国が事実上、様々な制限を設けて帰国を妨害した早期帰国実現義務違反、帰国後の日本語習得、就職あっせんなどの自立支援義務違反は明白として、国に損害賠償と責任ある救済策を命じている。

世論の高まりの中で、当時の第一次安倍政権は、大阪高裁に控訴する一方、全国の訴訟取り下げを条件に、老齢基礎年金の満額支給、支援給付金制度の創設などを提示して、幕引きを図った。兵庫の原告団、弁護団では、国の謝罪もなく、責任も不明確で、支援策の対象も呼び寄せ家族を除外するなど限定的と、拒否する声が圧倒的であったが、帰国者の高齢化と生活困窮度が高まる中で、全国からの要請を考慮して「苦渋の選択」として、この新支援策を受け入れた。

十数年にわたる旧満州(現中国東北部)での現地調査の成果を、書証として提出し、勝訴に貢献した神戸大学の浅野慎一教授夫妻は、「みんな同じ、誤った国策の犠牲者」として、「新憲法下での国の責任を明確にし、医療・介護や共同墓地の建設、帰国2世、3世なども含む総合的な問題解決を」と強調してやまない。

記念集会では帰国者による朗読劇『私たち“なに人”ですか』が上演され、感動を呼んだ。

(たどころあきはる・ジャーナリスト、12月16日号)