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医療過誤問題でシンポジウム――不十分な医療事故調査制度

制度の改善点を述べた医療事故被害者の家族や遺族たち。(撮影/渋井哲也)

制度の改善点を述べた医療事故被害者の家族や遺族たち。(撮影/渋井哲也)

病院で患者が“医療事故”で死亡した場合、第三者機関に届け出る「医療事故調査制度」ができて1年が過ぎたが、遺族に十分な情報を開示していないなどが指摘されている。そんな中、医療事故被害者の遺族や家族たちは12月4日、東京都内でシンポジウムを開いた。主催は「医療過誤原告の会」(宮脇正和会長)。

同制度では医療事故の定義は「予期せぬ死亡または死産」だ。重度の後遺障害は含まれない。疑いがある場合、病院内では緊急会議が開かれる。「予期せぬ死」と判断されると、第三者の「医療事故調査・支援センター」(以下、センター)に報告する。

院内調査は外部委員が関わることが望ましく、調査結果はセンターと遺族に説明される。その内容に納得しない遺族は、センターに再調査を求めることができる。

1年間でセンターに報告されたのは388件。当初想定された2000件に満たない。医療機関の自主性に任されているためだ。

2010年から14年にかけて、腹腔鏡手術を受けた患者8人が死亡した群馬大学医学部附属病院の事故で調査委員会のメンバーだった隈本邦彦・江戸川大学教授は「医療界には、事故の原因分析をすると責任追及につながるのではないか、また分析をしても再発防止につながるのか疑問という考えがあるのではないか」と述べた。

6月に制度が改善され、遺族用にセンターの窓口ができた。遺族からの情報を病院に提供するが、報告を求める権限まではない。宮脇会長は「制度が本当に機能するかは、国民の監視にかかっている」と主張した。

1999年に東京都立広尾病院で、看護師が点滴時に血液凝固阻止剤と消毒液を取り違えたために妻が死亡した永井裕之さんは「センターの権限強化をしないとうまくいかない。みんなで育てていこう」と呼びかけた。

(渋井哲也・ジャーナリスト、12月16日号)