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参院選の活動家調査が目的か――別府署が隠しカメラ

2016年9月1日9:49AM

大分県警が参議院選挙公示前の6月、野党統一候補の支援団体が使用する別府市の「別府地区労働福祉会館」敷地内に隠しカメラを設置していた問題で、県警側は現在も設置目的を公表していない。

県警の松坂規生本部長は8月5日の定例記者会見で、「しっかり調査するよう指示した。調査結果を受け、厳正に対処する」と発言したが、「調査結果」がいつ出るのか明言していない。この問題が報じられたのは3日だが、「どの部署が、何の目的で設置したか」程度の内部指揮系列に関する情報は、本部長なら報告させて瞬時に確認できる。わざわざ「調査結果」といった用語を使って説明を避けているのは、組織の非公然活動をよほどのことがない限り開示しない、警察独特の秘密体質のためだ。

今回参議院選挙の大分選挙区では、民進党と共産党、社民党の野党統一候補が立候補・当選している。考えられるのは共産党が協力した選挙に加わった労働組合員等の活動家の監視と身元特定のため、県警本部警備部の下に置かれる公安課の警官が動いた可能性だ。しかも県警の公安課への指示は、警察庁警備局の警備企画課から出されるもので、県警だけの独自判断でこの種の「作業」(注=公安の捜査活動)が実施されることはまずない。

この問題では、たまたま会館の関係者が敷地内の2台のビデオカメラを発見したが、他の野党統一候補が立候補した選挙区で同じような「作業」が密かに実施された可能性も否定できないだろう。

なお、行政の情報公開を求めている「おおいた市民オンブズマン」は8月9日、大分県警と県公安委員会に対し、この問題で(1)ビデオカメラの設置目的とその法的根拠(2)捜査令状(3)ビデオカメラ設置に関する決済・命令文書等8項目の開示を求め、情報公開請求をした。真相究明の一環として注目される。

(成澤宗男・編集部、8月19日号)

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