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若手研究者が呼びかけ人に――反差別の団体発足

「日本では、民族差別(レイシズム)と言われてもピンとこない人が多い。差別があるということに気付かないくらい差別が見えない社会なんです」

増大する日本のレイシズムをなくすことを目指して今年3月に発足した団体「反レイシズム情報センター(ARIC)」の呼びかけ人で代表の梁英聖さん(32歳、レイシズム研究)は5月10日、ARIC設立記念シンポジウムで冒頭のように訴えた。ARICは日本人を含む若手研究者やNGO活動家、学生など約20人からなる。同シンポジウムは東京都内で開かれ、約100人が参加した。

「在日朝鮮人をホロコーストしろ」などといった差別感情を扇動するヘイト・スピーチが路上に溢れ出したのは2012年のこと。しかし昨年から法務省が始めたヘイト・スピーチに関する電話相談では、「人権を守るには、まず当事者本人が頑張ることが重要」と相談員に言われ、被害が認定されないどころか二次差別を受けたとの訴えが出る(4月13日付『毎日新聞』夕刊)など、日本政府としての認識すらいまだ薄い。

こうした状況が長期化すると「新しい差別も生まれる」と梁さんは懸念する。最近ARICに寄せられた相談の中には、ネット上に蔓延する差別発言を見た子どもが、それらの発言を親に投げかけるといった身内による差別に関する相談内容もあったという。「差別を受けた本人が個別にそれを解決するのは難しい。これが差別だと認識すらできない状態にある人もいる。日本社会が社会としてレイシズムと闘う必要があります」。

梁さんは、日本には「反レイシズム」の基本となるべき差別行為の禁止を定めた法や政策すらないことも危惧する。差別を「見える」ようにするため、ARICでは被害実態の調査や被害相談(Mail contact@antiracism-info.com)、レイシズムの問題についての教材・授業作りを行なっていくという。

(渡部睦美・編集部、5月22日号)