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「慰安婦第三者委」報告に「重大な問題」――『朝日』に研究者ら申し入れ

2015年2月12日6:02PM

1月22日、記者会見で「問題」について説明する林博史・関東学院大学教授(中央)。(撮影/編集部)

1月22日、記者会見で「問題」について説明する林博史・関東学院大学教授(中央)。(撮影/編集部)

日本軍「慰安婦」問題に取り組む研究者や弁護士ら8人が呼びかけ人となり1月22日午前、『朝日新聞』東京本社を訪れた。昨年12月22日に同社が発表した〈「慰安婦」報道に関する朝日新聞社第三者委員会報告書〉に「重大な問題」があるとして申し入れたのである。

午後の会見で林博史・関東学院大学教授は「国際法の専門家がいない」「委員が特定の政治的な主張をしている」「人権侵害された『慰安婦』が攻撃され否定されようとしている」などと指摘。このほか「アジア太平洋に慰安所は置かれた。『慰安婦』問題は日韓の問題だけという狭い視野で絞らないでほしい。女性の人権を侵害する制度をつくって日本軍が運営した責任が問われている」(大森典子弁護士)。「安倍(晋三)首相は国連安保理常任理事国になりたいと言ったが、国連の委員会で議論されている人権問題を無視している。人権の切り口からの批判を『朝日』は今後踏まえてほしい」(田中宏・一橋大学名誉教授)。「(慰安婦)当事者はまだ健在。聞き書きは続いている。第三者委はこの意味を考えてほしい」(内海愛子・恵泉女学園大学名誉教授)。「『慰安婦』問題について授業をすると新聞が取り上げ、文科省が動き大学の授業に介入するという回路が今できかねない状況」(中野敏男・東京外国語大学教授)。「『朝日』の紙面で吉見義明さんや林博史さんの研究がとりあげられなくなり、秦郁彦さんの研究やコメントが全面化することを懸念」(金富子・東京外国語大学教授)。歴史学研究会の久保亨委員長は「(慰安婦が)強制的になされたことは歴史学の常識」「一部のメディアや政府関係者の発言は憂慮に堪えない」と述べた。

また、「編集局の人の同席はかなわず、対応は広報の二人。テープもとらずメモもたいしてとっていなかった。あれできちんと報告できるのか」(大森弁護士)と『朝日』の対応も説明された。

(平井康嗣・編集長、1月30日号)

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