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「慰安婦」問題の次は「南京事件」の否定か――藤岡信勝氏に本誌「公開質問」

「慰安婦」にするために韓国・済州島で女性を暴力的に無理やり連れ出したとする吉田清治氏の証言を、『朝日新聞』が虚偽と判断し取り消した件で、歴史修正主義者が勢いづいている。「商売になる」ためか『朝日』叩きに邁進する雑誌も急増中で、次の矛先は旧日本軍による「南京事件」の否定に向かっているようだ。『週刊金曜日』編集部は8月29日、本多勝一・本誌編集委員を批判するコメントを『週刊文春』(9月4日号)に出した藤岡信勝・拓殖大学客員教授に公開質問状を出した。『週刊文春』の質問を小誌編集部が本多編集委員に取り次いだためである。

藤岡氏のコメントは「松井やよりと3人のホンダの遺伝子」と題する記事に次のように掲載された。

〈この記事は本多氏が中国共産党の案内で取材し、裏付けもなく執筆したもので、犠牲者三十万人などは、まったくのデタラメです〉

本多編集委員が、南京事件の被害者を30万人と断定したかのようなコメントだが、事実は違う。30万人とは『中国の旅』取材で聞き取りをした被害者、姜眼福さんの発言であり、本多編集委員は次の注を付けている。〈南京事件で日本軍が殺した中国人の数は、姜さんの説明では約三〇万人という大ざっぱな数字を語っていたが、正確な数字はむろん知るよしもない。東京裁判のころの中国側(蒋介石政権当時)の発表は四三万人(市民二三万人、軍人二〇万人)だった。東京裁判判決では一一万九〇〇〇人だが、これは明白な証言にもとづくものだけなので、事実より少ないとみる研究者もいる。洞富雄著『近代戦史の謎』の分析は、三〇万人、あるいは三四万人説を事実に近いとみている〉

しかも、洞氏がその後の研究で被害者数を「20万人」前後にした際には、本多編集委員は著作の注を変更している。そもそも被害者数が何人だったら「大虐殺」ではないと言えるのか。「30万人」を否定できたとしても、それで南京事件を否定することはできない。

公開質問状では、右の経緯を知っているか、被害者数は何人と考えているかなど6項目を質問した(全文は小誌公式ホームページ)。

公開質問状は『週刊文春』編集部に取り次ぎを依頼した。回答期日は9月5日。『週刊文春』と藤岡氏の誠意を期待している。

(編集部、9月5日号)