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ヘイトスピーチに「人間の壁」――豊島区が差別集会許可で波紋

東京・豊島公会堂前を封鎖し、警備する警視庁の職員ら。(撮影/渡部睦美)

東京・豊島公会堂前を封鎖し、警備する警視庁の職員ら。(撮影/渡部睦美)

 東京都豊島区が、差別憎悪を扇動するヘイトスピーチをすることで知られる「在日特権を許さない市民の会」(在特会)に多目的ホールである豊島公会堂を貸し出したことで、波紋が広がっている。

 在特会は3月16日、「特定秘密保護法の活用と発展を目指す国民集会 愛国者の反撃開始 反日勢力根絶への第一歩」と題する集会を開き、その後、「勇気をもって日韓断交を叫ぼう!」との差別デモを池袋駅周辺で実施した。これに対し、C.R.A.C.やのりこえねっとなどの差別排外主義に反対する団体の呼びかけで、デモコースには数百人の「人間の壁」ができた。

 池袋駅北口には、チャイナタウンをはじめ多国籍商店が並んでおり、在特会は2009年などにも同地域でヘイトデモをしていた。今回は北口でのデモはなかった。

 同日の差別反対行動に訪れた、のりこえねっと共同代表の辛淑玉氏は、「私は今日、あなたたちが殺せと叫ぶ“朝鮮人”として、この場に立っています。池袋はさまざまな民族が住むふところの深い街。その歴史に泥を塗るようなことはしてはいけない」と訴えた。

 今回のヘイトスピーチに関しては、自治体の「判断」が問われる問題にまで発展した。豊島区が許可をしたことが14日付けの『東京新聞』に掲載されると、豊島区議会には許可取り消しを求める電話などが複数件寄せられたという。

 豊島区側は、憲法21条に掲げられる「表現の自由」や地方自治法244条を尊重し、「よほどのことがない限り、いつも貸し出している」との対応をした。ただ、「今回の件は『よほどのこと』にあたるのでは」との問いに対しては、「貸し出しの許可をする職員が、在特会を知っていたのかわからない」との答えが返ってきた。特段の議論を経ず、貸し出した実態が見える。明確な法規制がない中で、今後、各公共施設がどのような対応をするのか注目される。

(渡部睦美・編集部、3月21日号)