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第1回津田梅子賞――森山眞弓・有森裕子両氏とWWNが受賞

2010年10月16日9:08PM

津田塾大学は今年、創立一一〇周年を記念し、津田梅子賞を創設した。同賞は女性の可能性を広げる取り組みをした個人や団体、各分野で先駆的な活動をした女性に贈られる。

第一回目の受賞者は、女性官僚の草分け的存在としてキャリアを築き、女性初の官房長官や文部大臣を務めた森山眞弓氏、五輪女子マラソンで二大会連続のメダルを獲得し、開発途上国訪問して女性の地位向上やジェンダー平等の重要性を伝える啓発活動に取り組む有森裕子氏、女性の地位向上を目的として男女賃金差別裁判のサポートや政府・企業への働きかけをするほか国連などの国際舞台でも活動する「ワーキング・ウィメンズ・ネットワーク(WWN)」の二個人一団体。同大学小平校舎で一〇日、一一〇周年記念式典の一つとして授賞式が行なわれた(有森氏のみ代理人が出席)。

選考委員の一人である鹿嶋敬・実践女子大学教授は講評で「北海道から九州までの広範囲で三二件の募集があり、福祉分野、研究者、科学分野、市民運動と広範な分野からの推薦があった。これは常日頃から目的意識をもって活動をしている人が多いことの表れであり喜ばしい」と述べ、それぞれの受賞者を紹介。森山氏については「初の女性上級職員、婦人局長、官房長官など初物づくし、といってもいいほどのキャリアで女性の道を切り拓いてきた。息子さんを亡くされた時も冷静に悲しみを秘め、乗り越えてこられた」などと公私にわたるエピソードを交えて話した。

有森氏については、「バーニングブライド(女性が持参金の不足などを理由に夫やその家族から焼き殺される南アジアの悪習)の問題やアフリカの女性性器切除の問題などを知り、これらのジェンダーに関する問題について発言するなど、女性差別撤廃について尽力している」と受賞理由を説明。WWNについては「依然として残る男女間の格差是正に取り組み、同一価値労働・同一賃金の実現など実質的な男女平等に向けて取り組んでおり、特に国連女性差別撤廃委員会への働きかけは注目に値する。個人的にも知っている代表の越堂静子さんは典型的な大阪のおばちゃんで、国連でもその物怖じしないパワーを出していてすばらしいと思っている」などと紹介し、笑いを誘った。

式典後、森山氏に感想を訊くと「まあ金曜日の人に訊かれるなんて」と笑いながら「賞のお話が来てびっくりしている。私たちは学生運動の時代で十分に勉強していないから、先生方はあなた方はどん底ですっておっしゃっていたし、だからありがたいことだと思っています。(仕事も)あまり大したことはしてないでしょ。予想外のおほめに与かって恐縮だと思っています」などと優等生らしいコメント。WWNの越堂代表は「本当にありがたい。津田梅子さんはパイオニアで、その人が設立した大学の賞の第一回目に選ばれるとは光栄。賞金の三〇万円は働く女性へのインタビュー調査や企業訪問などのリサーチ活動に使わせていただく。これまでWWNってなんやと思われてきたから、名刺に津田梅子賞受賞と入れようかと思っている」などとユーモアを交え感謝の気持ちを表明した。

WWNを推薦した浅倉むつ子・早稲田大学教授も「推薦人としても嬉しい。WWNは国際的な活動もしており、国際社会を切り拓くという賞にふさわしい。有森さん、森山さんという超有名人だけの受賞よりも草の根で活動しているWWNが受賞したことで賞の意義がより明確になったのではないか」などと喜びの意を表した。

(宮本有紀・編集部)

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