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原発輸出で不明確な“調査費用”――日本原電に36億円余の税金

開示された調査報告書。ほとんどが黒塗りで、内容が判別できなくなっている。(提供/満田夏花)

開示された調査報告書。ほとんどが黒塗りで、内容が判別できなくなっている。(提供/満田夏花)

 ベトナム中南部に建設が予定されているニントゥアン第二原発。日本の企業グループによる原発輸出が予定されているが、輸出のための調査をめぐり、不透明な税金の使われ方が問題となっている。

 国税約25億円をかけて、日本原子力発電(株)(以下、日本原電)が調査を実施したことは、本誌2013年11月1日号で伝えた通りだ。うち20億円は09年度「低炭素発電産業国際展開調査事業」の名目で日本原電に支払われた。追加で拠出された5億円は、「インフラ・システム輸出促進調査事業」の名目で復興予算が流用された。

 これに対し11年以降、調査の内容について疑念を抱いた市民団体や国会議員が、再三にわたり報告書の開示を求めてきた。昨年10月には、山本太郎参議院議員の請求により、ようやく関連文書が開示された。しかし、20億円分の報告書本体は開示されたものに含まれておらず、追加5億円分の報告書も内容がほとんど黒塗りで判別できなかった。

「はたして妥当な調査であったのか、第三者が判断できない状況です。5億円もかけて実施した調査とは到底思えません」と自らも海外のプラント建設事業に関わってきた技術者の川井康郎氏は語る。

 黒塗りの部分には、地層調査の手法や結果、周辺の環境放射線量、環境影響調査、事故時の対応など、原発の安全性や周辺の住民に直接影響を及ぼす可能性がある項目も含まれている。

 20億円分の報告書本体について経済産業省は「この予算は補助金であるため、成果物の所有権は日本原電にある。経産省としては徴求していない」と、昨年12月24日に回答し、開示を拒否した。弁護士の福田健治氏は、「20億円もの国費(税金)を使いながら、成果物の確認を行なわないというのはあまりにずさん。補助金適正化法に基づき、政府は調査の妥当性を確認する責任を負うのだが、調査報告書なしにどのように確認したのでしょうか」と首をかしげる。

【トルコの原発建設調査も】

 一方、トルコの原発建設には、11億2000万円をかけて建設予定地の地質調査などが進められている。こちらも受注したのは日本原電だ。

 同社が、活断層の判定に関して妥当な調査や評価を行なうことができるかについては、疑念がある。たとえば、同社が所有する敦賀原発2号機(福井県)の原子炉直下の断層は、活断層であると原子力規制委員会がいったんは認定したものの、日本原電が外部専門家を雇用して調査し「活断層はない」と異議申し立て。原子力規制委員会は再調査を行なったものの「活断層」認定は動かない見通しだ。

 受注に当たって、日本原電の提出した提案書の審査にあたった外部委員の名前は伏せられ、どのような評価が行なわれたかも不明だ。

 さらに、調査の一部は日本原電から(株)ダイヤコンサルタント(東京・千代田区)に再委託されている。同社は三菱グループ。福井県大飯原発の設置許可申請時の敷地内の地層調査を実施している。同原発は敷地内の破砕帯が問題になった際、ダイヤコンサルタントが当時行なった調査とともに三菱重工業との関係も取り沙汰された。

 トルコは日本と同様、有数の地震国。1999年のトルコ北西部地震(M7・8)では、1万7000人以上の死者を出した。原発関連企業による地層調査の実施、しかも手法も開示されないような調査には疑念が残る。建設予定地のシノップはトルコ北部で黒海の南岸で、とりわけ地震の多い地域だ。チェルノブイリ原発事故のとき、放射能被害も経験しており、市長は「原発反対」を掲げて当選。住民の根強い反対運動もある。

 1月24日からの通常国会では、トルコなどとの原子力協定の批准が予定されている。先立つ1月21日、FoE Japan、JACSES、メコン・ウォッチ、ピースボートなどの市民グループは、トルコへの原発輸出に反対する署名を国会両院議長・衆院外務委員・参院外交防衛委員に提出。署名簿には数千のトルコ人も名を連ねた。

(満田夏花・FoE Japan、1月31日号)