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フィリピン現地調査で明らかに――問題ある強制送還

入管収容時に右手を怪我。適切な治療なく指が曲がらなくなった男性の写真。(撮影/西中誠一郎)

入管収容時に右手を怪我。適切な治療なく指が曲がらなくなった男性の写真。(撮影/西中誠一郎)

 法務省入国管理局がフィリピン人七五人をチャーター便で強制送還(七月六日)した問題で、支援者の現地調査により、入管の人権を無視した対応が明らかになった。

東京都内で七月二九日に行なわれた記者会見で、港町診療所(横浜市)の山村淳平医師は七月下旬に四日間、フィリピンで今回強制送還された男性七人に対面した内容を報告した。

 山村医師によると、強制送還の数カ月前から入管での面会件数が制限されるようになったという。送還前日深夜にフィリピン人被収容者だけが別室や保護房に集められ、突然送還を告知された。弁護士や家族にも連絡を取ることができないまま、翌朝フィリピン人一〇人につき二〇から三〇人の入管職員と一緒に護送車数台に分乗させられた。手錠をかけられ成田空港から飛行機に搭乗。マニラ空港に到着する三〇分前まで手錠をかけた状態で食事やトイレを済ませていたことなどがわかった。

 さらに、入管収容施設内で別室に移動する際に、無理矢理六、七人の入管職員に抱きかかえられ打撲を負ったケースや、入管収容中に怪我をしたが適切な治療が受けられず、後遺症が残った状態で送還された人もいたという。

 マニラ空港ではフィリピン社会福祉開発省職員から事情聴取を受け、一人当たり一〇〇〇ペソ(約二三〇〇円)程度の交通費が渡されたとした。中には一〇歳の時に来日し、タガログ語を話すことができず、両親が亡くなったためフィリピン国内に身寄りもなく途方に暮れている人や、日本に妻子を残し精神的に深刻なダメージを受けた人もいる。

 会見に同席した児玉晃一弁護士は「イギリスで強制送還が実施される際には、家族や弁護士に事前告知され面会もできる。日本の入管の内部規則でも、手錠などの使用は極めて限定的」と指摘し、「密室の強制送還」における人権上の問題を指摘した。

(西中誠一郎・フリーライター、8月9日号)