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痴漢冤罪の元高校教諭・河野さん――東京高裁で逆転勝訴

「まだ夢のようです」と逆転勝訴を支援者らに報告する河野優司さん。(撮影/池添徳明)

 痴漢冤罪事件で有罪が確定し、懲戒免職された横浜市立高校の元教諭・河野優司さん(六〇歳)が横浜市に処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審で四月一一日、東京高裁(市村陽典裁判長)は、原告側の痴漢冤罪の主張は認めなかったが、「元教諭に対する生徒・保護者の信頼や教育実践などを考えると、処分は重すぎ妥当性を欠き裁量権を逸脱している」として、懲戒免職処分を取り消す判決を言い渡した。一審敗訴を覆す逆転勝訴判決となった。

 二〇〇六年一月、河野さんはデパートの地下食料品売場で女性二人の体を触ったとして逮捕され罰金刑が確定したが、一貫して「痴漢はやっていない」と無実を主張してきた(自身の冤罪事件を『週刊金曜日』ルポ大賞に応募し第一六回の佳作入賞)。それは刑事裁判でも人事委員会審理の場でも、処分の取り消しを求めた民事訴訟の場でも変わらない。河野さんが「冤罪事件だ」と訴えていることに触れたのはNHKと『朝日』だけで、時事通信、『読売』『産経』の記事はまったく触れていない。

 まさに、まさかの逆転勝訴判決だった。裁判官は、反原発デモの日比谷公園の使用をめぐる仮処分決定、都立三鷹高校の土肥信雄・元校長の控訴審不当判決などを言い渡したあの市村裁判長である。

 法廷では判決言い渡しの直後、満席の傍聴席から拍手がわき起こった。弁護団の一人は感極まって涙を流し、岡田尚弁護団長の顔は興奮で紅潮していた。

「言葉にならないほどうれしいです。あきらめずに控訴して本当によかった」と河野さんは顔をほころばせた。裁判を支援してきた元同僚らは、横浜市に対し上告しないように働きかけていくという。

 横浜市教育委員会の岡田優子教育長は「市の主張が認められず残念です。判決文をよく精査した上で、今後の対応について検討してまいります」とコメントした。

(池添徳明・ジャーナリスト、4月19日号)