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再調査拒む大阪府と市に改めて住民監査請求――「測定ミスのレベルではない」

2013年5月1日1:45PM

大阪府・市は住民の監査請求を却下したが、広域処理が必要ながれきはあるのか。(提供/真野きみえ)

 環境ジャーナリストの青木泰氏と阪南大学准教授の下地真樹氏、大阪府民有志らが、前回の住民監査請求から約二カ月後の三月二八日、改めて大阪府・市に住民監査請求を行なった。岩手県のがれきを受け入れ、税金で処理するのは不当な公金の支出にあたるとして再請求に踏み切ったものだ。

 がれきを広域処理するには、がれきが発生した被災自治体で処理しきれないという前提が必要だ。廃棄物処理法に照らせば、発生した被災市町村に第一義的に処理責任がある。岩手県は、地元で処理できない理由として膨大ながれきが発生したためとしている。

 しかし、がれき広域処理の状況はめまぐるしい変化を見せている。搬出元の一つである宮城県副知事は受け入れ積極自治体として知られる福岡県北九州市を訪問し、がれきの搬出は三月三一日をもって終了すると告げた。同県は、他に茨城県、東京都への搬出も二〇一二年度で打ち切る。広域処理をするにあたり必要とされていたがれきの総量が当初の六分の一しかなかったためだ。実は岩手県も大幅に下方修正がなされ、静岡県に搬出している同県山田町と大槌町は、再調査の結果、やはり二〇一二年度で終了することが決まった。驚くことに、当初予定の七分の一から一〇分の一の量しかなかったということだ。青木氏によれば、「もはや測定ミスのレベルではない。誤った測定だ」ということになる。

 岩手県の広域化に関する調査は応用地質株式会社が請負っている。一〇分の一にまで修正される調査の信頼性はどうなのか。応用地質社に取材したところ、同社は守秘義務を理由に回答を避けた。

 はたして広域処理を必要とするだけのがれきは本当にあるのか。前回の監査請求を適正な理由なく却下しているが、大阪府・市は受け入れ側として広域処理の正当性を証明するため、住民の請求に応じ早急に調査を行なう責任がある。

(真野きみえ・ライター、4月12日号)

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