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電磁波問題に予防原則を――欧州環境庁が警告

報告書は URL http://www.eea.europa.eu/publicaions/late-lessons-2 で掲載。(提供/加藤やすこ)

 携帯電話の電磁波に予防原則の適用を――欧州連合(EU)の独立機関である欧州環境庁(EEA)がまとめた報告書を、日本はどう受け止めるのか。

『早期警告からの遅すぎる教訓:科学、予防、革新(Late lessons from early warnings:science, precaution, innovation)』と題された報告書(一月二三日)では、新しく発生した環境問題の一つとして携帯電話電磁波の問題に注目し、化学物質なども含め予防原則の適用を強く求めている。

 EEAでは過去に起きた健康被害や環境汚染の事例を調査し、早い段階で危険性が指摘されたにもかかわらず、対策が遅れて被害が拡大したことが確認された。背景には、短期的な経済利益を追求するために警告を無視・抑圧する企業の姿勢や、従来の科学的な考え方の限界などがあると指摘した。

 EUでは、過去一〇年間の携帯電話などの情報通信技術やナノテクノロジー、バイオテクノロジーへの研究資金は「製品開発に大きく偏り、潜在的な害については一%」しか提供されていない。

 また「害の証拠がない」という研究結果は、単に研究が不足しているだけなのに、「害がない証拠」として利用されてきた。因果関係を立証する際は、安全性を証明する時よりも強い証拠が求められる。しかも、早い段階でリスクを警告した科学者は、降格や法的な脅しなどの嫌がらせを受けてきた。

 被害を防ぐには、因果関係が完全に立証されるのを待つのではなく、科学的な不確かさや無知の存在を認め、予防原則に則った対策が必要だという。情報の共有と科学者の法的な保護、被害者への賠償制度、市民参加と透明性の確保など社会的な枠組みも必須だ。

 日本にはこのような予防原則的な枠組みはない。一方、基準値では世界的に著名な研究者二九人が一月七日に発表した「バイオイニシアティブ報告2012」で、日本の基準の一〇〇〇万分の一単位の厳しい規制を求めている。日本でも早急に対策をとるべきだ。

(加藤やすこ・環境ジャーナリスト、2月15日号)