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強制執行を求め中国から提訴――危機感を募らせる展転社
2012年12月10日5:52PM
日中戦争中の一九三七年一二月、当時八歳の夏淑琴さんの一家は南京城内の自宅で日本軍に襲われ、家族九人のうち七人が殺害された。夏さんは戦後、自身の体験を証言し続けたが、松村俊夫著『「南京虐殺」への大疑問』((株)展転社)の中で“ニセ被害者”扱いされた。夏さんは中国の裁判所に松村氏と展転社を提訴。二〇〇七年に被告らに約一〇〇〇万円の賠償を命じる判決が確定した。しかし被告らが応じないため、強制執行を求め東京地裁に提訴した。
日中間には、外国判決を執行する取り決めはない。しかし、原告側の渡辺春己弁護士は筆者に対し、「名誉毀損の法制度は両国でほとんど共通している。今回のケースは著しい人権侵害であり、強制執行は認められるべきだ」と語った。
原告側は中央大学法科大学院の奥田安弘教授(国際私法など)の意見書を提出済み。一一月九日には第二回口頭弁論が行なわれた。
同じ展転社から出版された東中野修道・亜細亜大学教授の書籍でも、夏さんは“ニセ被害者”扱いされたが、日本の司法は夏さんの被害証言を認定し、夏さんの勝訴は確定した。
「南京裁判」展転社を支援する会が主催する「報告決起集会」が、東京都文京区で一一月一四日に行なわれた。夏さんの新たな訴訟を受けてのものだ。屋内会場には「日中国交断絶」「打倒中国共産党」「暴支膺懲」と書かれたのぼりが林立した。参加者は二五〇人前後。
集会で被告側の荒木田修弁護士は、国際私法専攻の東京大学教授に相談したところ「執行判決が出る」と言われたことを明かし、危機感を募らせた。展転社の藤本隆之代表取締役は「こんなことを許していいわけがない!」と語った。
集会では中国人への罵詈雑言が飛び交ったが、歴史の事実と真摯に向き合うことが大切だ。次回口頭弁論は、一二月二一日の一四時三〇分から一〇三号法廷で。
(星徹・ルポライター、11月23日号)