東京電力福島第一原子力発電所の敷地内での取材が厳しく制限されている中、様子をうかがい知ることができる貴重な資料が、「国会 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」(国会事故調)の最終報告書と共に公表された。作業員から回答のあった二四一五通のアンケートだ。さまざまな回答を読むと、廃炉に向けた作業の問題点が浮かび上がってくる。その最大のものは、作業員不足である。

 アンケートでは、被曝量が増えたために「向こう五年間、管理区域内の作業に従事できずにいる」(元請け協力企業)、「(被曝線量管理を)見直してほしい。それでないと(中略)もう働けなくなり、現場は作業が進まなくなる」(一次下請け以下の協力企業)」など、すでに現場作業に就けなくなっている作業員が出ていることを示す声がある。また「我々(一次下請け以下の企業)が4号原子炉のオペフロ上で作業を行っても危険手当が一日一五〇〇円、ゼネコンが線量の低いガレキを片付けると手当が一日八〇〇〇円もらえる」と、高線量下での作業に就く手当に格差があることもわかる。

 昨年八月四日に「共同通信」は、日弁連シンポジウムで、東電が支払った日当一〇万円が末端の作業員が受け取る際には八〇〇〇円になっていたことを伝えた。前述のアンケートは、この報告を裏付けていよう。

 七月二一日に『朝日新聞』電子版は、福島第一原発で作業にあたる下請け会社が、作業員の線量計を遮蔽して被曝線量を低くさせていた可能性を報じた。記事では被曝隠しの理由について、年間の線量限度を超えると原発で働けなくなるためという証言を伝えている。

 廃炉に向けての作業は、この先何十年も続く。作業には必ず被曝が伴うにもかかわらず、線量限度に達して働けなくなった場合や健康被害が出た際の補償は今のところなにもない。これでは被曝隠しが今後も続くおそれがある。

 しかし国は、この状況を改善する具体策を示していない。七月一三日の閣議後会見で細野豪志原発担当相は、国が作業員を直接雇用する可能性を聞かれ「今の段階で検討しているということはない」と回答した。作業員不足や待遇格差などの問題を改善しようとする具体策が見られない。

(木野龍逸・ジャーナリスト、7月27日号)

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