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着陸帯の建設工事再開は停止――沖縄高江で住民が抵抗

2012年7月31日5:28PM

 沖縄防衛局は一〇日夕方、垂直離着陸輸送機オスプレイの訓練施設建設を予定している沖縄県東村高江地区の工事現場に工事用重機を強行搬入した。地元紙『琉球新報』によると、同日は職員約五〇人を動員し、現場に通ずる進入路二カ所に軽トラック三台を横付けした。

 県では知事と県議会、県内四一全市町村長・議会すべてがオスプレイ配備反対を表明。来月五日には配備反対県民集会が予定されているなか、全県あげての配備反対の世論に挑戦するかのような今回の沖縄防衛局の動きに、県民の怒りが高まっている。

 米軍は県内最大の基地である北部訓練場内に、高江地区を取り巻くように六カ所のオスプレイ訓練用パッド(離着陸帯)の建設を計画。二〇〇七年からは地元住民を中心に工事現場への建設機材持ち込みを阻止するため進入路手前での座り込みが続いており、これまで何度か工事を強行しようとする防衛局側との衝突が起きている。

 工事自体は、三月から六月まで建設予定地付近に生息する特別天然記念物ノグチゲラの営巣時期のため中断されていたが、今回は不意を突いて工事再開に向けた同防衛局の動きが始まった形だ。一七日現在、住民側は進入路手前に鉄パイプで骨組みを作ったため、工事は再開されていない。

 今回の背景には、八月中に普天間基地へのオスプレイ配備を完了したい米海兵隊にとって、運用上、北部訓練場のパッドが不可欠になっている事情がある。防衛省も米軍の意向を配慮して、工事を再開させようとしているのは間違いない。野田佳彦内閣は、全県民を敵に回しても米軍のためだけにオスプレイ配備に協力しようとしている。

『琉球新報』は一二日付の社説で、「着陸帯の整備は、米軍普天間飛行場を拠点とするオスプレイの配備環境を整えることに直結する」と指摘し、「着陸帯の建設工事は中止すべき時を迎えている」と論じた。オスプレイの配備が強行されれば、次に本土各地での低空飛行訓練が始まる。高江の住民の闘いは、全国的な支援が求められている。

(成澤宗男・編集部、7月20日号)

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