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政務三役や有識者も操る国交官僚――ダム予定地住民の傍聴退け会議を流会

傍聴を求める住民らに迫る国交官僚。もはや“河川ゾンビ”だ。(撮影/まさのあつこ)

 二月二二日、長崎県営石木ダム(川棚町)を含む四ダムの検証結果を審議する予定だった国土交通省の「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」(座長:中川博次・京都大学名誉教授)が流会となった。

 二二日当日は、石木ダムが議題であると知った予定地一三世帯の代表が上京。「半世紀反対してきた。たった二時間でどう審議されるのか聞きたい。審議を聞いて地元地域の人たちに報告しなければならない。傍聴させてください」と訴えて当局側と硬直状態になり、その結果流会した。

 同ダムは前農相の山田正彦民主党衆院議員(長崎三区)も「佐世保市の水需要は年々減っているからダムは不要。たとえ水需要があるにしても代替案はある」と反対の立場だ。山田前農相には「石木ダムができ、閉鎖性海域の大村湾に四万トンが流れなくなればナマコ漁が打撃を受ける。かつて郡川に萱瀬ダムができたことで、大村湾の漁に影響が出た」との知見がある。前日には国交省水管理・国土保全局長に代替案を渡し、傍聴も認めるよう求めたという。

 前農相によると、二四日に局長と治水課長が「座長が延期を決めた。代替案は座長を通じて各委員に渡している」と報告にきたという。しかし実際は、官僚が対応を協議し、流会も宣言されたことを筆者は確認している。

 会議では、諮問側の責任者である奥田建副大臣や津川祥吾政務官も傍聴を求める声に背を向け、出席予定だった前田武志国交大臣は姿すら見せなかった。

 昨年一二月、同大臣による八ッ場ダム継続の判断を後押ししたのもこの会議だ。二月の衆院予算委員会で前田大臣は、野田佳彦首相がダム中止の場合の生活再建法案提出や上位計画たる河川整備計画の策定を本体着工の要件としたことを認めたが、国交省政務三役も有識者会議も、もはや官僚の言いなりであることは明らかだ。

(まさのあつこ・ジャーナリスト、3月2日号)