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日本の許容線量設定に異議――国際医師会議が書簡提出

 世界八三カ国、約二〇万人が加盟する「核戦争防止国際医師会議」(IPPNW)は八月二六日、菅直人首相(当時)に書簡を提出し、「政府機関が公衆の健康より政治的・経済的利益を優先してきたのではないかとの疑問が上がっている」として、厳しい調子で日本政府の原発対策の見直しを求めた。

 一九八五年にノーベル平和賞を受賞したIPPNWはこの書簡で、特に政府が「計画的避難区域」の設定基準として年間二〇ミリシーベルトの被曝線量を適用していることに対し、「深く懸念する」と表明。「自国の一般公衆にふりかかる放射線に関連する健康上の危害をこれほどまで率先して受容した国は、残念ながらここ数十年間、世界中どこにもない」と批判しながら、主に以下の緊急措置を求めている。

 (1)被曝の許容線量を、外部被曝と内部被曝の両方で年間一ミリシーベルトに早急に戻す。これは特に子どもと妊婦にとって重要だ。

 (2)汚染された地域の住民および福島第一原発の全作業員の包括的登録と、被曝の早期評価・生涯にわたる長期的健康調査を実施すること。

 (3)放射線防護策実施に当たっては避難しか方法はなく、事故現場から八〇~一〇〇キロ圏内で避難者に対する援助策も含めた避難計画を立案・実施すべきだ――。

 一方、文部科学省はやはり八月二六日に、「福島県内の学校の校舎・校庭等の線量低減について」と題した「通知」を発表。「(夏休み明けは)原則年間一ミリシーベルト以下とし、これを達成するため、校庭・園庭の空間線量率については、児童生徒等の行動パターンを考慮し、毎時一マイクロシーベルト未満を目安とします」としている。

 だが、電離放射線障害防止規則などにより、一般人の立ち入りと一八歳未満の労働が禁じられている「放射性管理区域」の数値は、毎時〇・六マイクロシーベルトだ。今回の「毎時一マイクロシーベルト未満」はそれよりも高い。しかも「通知」では、「仮に毎時一マイクロシーベルトを超えることがあっても、屋外活動を制限する必要はありません」などと、不必要な被曝の危険性を考慮していない。IPPNWが求めた一ミリシーベルトとは依然大きな差があり、今後も国際的な非難を招きそうだ。

(成澤宗男・編集部、9月2日号)