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都議会の女性議員3割達成
ジェンダー関連政策進むか
当選者の意識チェック

宮本有紀|2021年7月16日8:45PM

7月4日に投開票された東京都議会議員選挙で、当選した女性は過去最多の41人。127議席の3割を超えた。

都議会議事堂。(撮影/宮本有紀)

政党別に女性候補者比率を見ると、候補者が全員女性の東京・生活者ネットワークやれいわ新選組を別にすると58%の共産党が高く、都民ファーストの会(以下、都民)38%、立憲民主党29%と続く。一方、比率が低いのは自民党15%、公明党13%で、国民民主党は女性ゼロだ。当選者比率では共産党の74%が際立つが、都民も39%と候補者比率より高く、両党が当選可能性の高い選挙区に女性を擁立したことを示している(表1参照)。

パリテ(男女同数)議会を目指して活動する三浦まり上智大学教授はこの結果について「女性割合が3割を超えたことは評価できる。女性に関する政策が進むことが期待される」とする一方、「ただ自民、公明が少ないことが際立つ。逆に共産党は7割を超えており、戦略的に女性を擁立している姿勢が窺われる」と政党間で差があることを指摘。そして「非自民勢力の拡大が女性割合増加に結びつく傾向が今回の選挙でも見られた」と解説した。

「後ろ向き」な自民党

期待通り「女性に関する政策」は進むだろうか。NHKが実施した「都議選2021候補者アンケート」で、ジェンダー関連課題について当選者がどう答えたかを党別(男女で回答にばらつきのある党及び無所属は性別も)に調べると(表2参照)、選択的夫婦別姓の導入に「賛成」と答えたのは88人で「どちらかといえば賛成」の10人とあわせて98人が賛成。「無回答」だったのは自民党の28人と都民の1人だ。

また、都内の高校生から寄せられた「都立高校全日制普通科の入試では男女別の定員が設けられ、女子のほうが合格最低点が高くなる傾向があります。男女別の定員制について、どう考えますか」という問いについて、「見直す必要なし」としたのは自民26人、公明2人、都民1人。「無回答」は公明9人、自民2人、都民1人だ。

このアンケート回答について三浦教授は「ジェンダー関連政策に後ろ向きな自民党の姿勢がはっきりと現れた。選択的夫婦別姓の『無回答』は事実上反対の表明だろう。自民党女性議員も無回答となっており、ここは性差よりも政党のイデオロギーが優勢となっている」と指摘する。

さらに、先のアンケートで「同性パートナーシップの導入をどう考えるか」という問いについては共産、公明は全員が「賛成」と回答し、全体的に「賛成」が多数だが、自民党29人と都民1人が「無回答」だった。三浦教授は「東京都で同性パートナーシップ条例が施行されるのかどうかが焦点の一つ。小池都知事は前向きと報じられているが、自民党との連携を深めるなか、どのような判断になるのか注目される」として、「ジェンダー案件を政争の具にするのではなく、都民の声に真摯に向き合うべき」と提言した。

(宮本有紀・編集部、2021年7月16日号)

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