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改憲世論の醸成狙う自民の戦略

高田健|2021年6月3日10:43AM

5月3日、全国各地で市民らが改憲反対行動。東京・永田町国会正門前。(撮影/金浦蜜鷹)

8回の国会をかけて難航してきた改憲手続法(日本国憲法の改正手続に関する法律。通称・国民投票法)の改正案(公選法並びの7項目改正)は、立憲民主党の附則をつけた修正案を与党が丸のみし、5月6日、衆院憲法審査会で可決。その後、衆議院本会議を通過し、参議院に付された。

現在、会期末を6月16日に控え、参院憲法審査会で攻防が展開されている。本誌5月14日号拙稿で指摘したように、修正案をもってしても、国民投票の際の公平公正を保証する上での同法の重大な欠陥は解決されていない。引き続き抜本的な再検討を加えることは国会の責務だ。

この法案の目的を知る上で憲法記念日の5月3日に開かれた櫻井よしこ氏ら日本会議系の改憲派の「憲法フォーラム」に注目した。

菅義偉首相はこの集会に「自民党総裁」としてビデオメッセージを送った(前任の安倍晋三氏はしばしば「首相」の立場で改憲発言し、憲法99条違反が指摘された)。菅氏は新型コロナウイルスの感染拡大に触れ、大災害などの時に国民の権利を制限する「緊急事態条項」を憲法に書き込むことは「極めて重く大切な課題」と語り、合わせて憲法9条に自衛隊の根拠規定を加えることを含む自民党「改憲4項目」(たたき台)の実現をめざす必要性を強調した。

そして改憲手続法改正案を「憲法改正議論を進める最初の一歩として、成立を目指さなければならない」と述べた。菅氏は近づく総選挙を前にして、改めてその支持基盤の改憲派向けに安倍=菅改憲路線の推進を表明したのである。

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