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コロナ禍の「女性だけの相談会」

2021年5月4日5:16PM

そうして会議を繰り返し、とうとう実現したのである。スタッフは全員女性。公園に設営されたテントには生活、法律、労働、健康、妊娠や出産、子育てに関する相談ブースがあり、その一角は新鮮な野菜が並ぶマルシェ(市場)になっている。

その隣には衣類や生理用品などのスペース。もちろんすべて無料だ。中央はカフェスペースとなっており、また、子ども連れでも参加できるようキッズスペースも用意されていた。

初日は暴風雨だったものの、翌日は晴天に恵まれた。2日間にわたって相談員をつとめ、多くの女性の困りごとに耳を傾けた。すでに3年間にわたり住む場所がなく、今夜寝る場所もないという女性もいた。その場から某区に直行し、そのまま生活保護申請をするとその日からホテルに泊まれることになり、女性は「夢みたい」と繰り返した。その日は大雨で、ずぶ濡れの彼女は相談会と出合えていなければ野宿だった。

昨年3月にコロナで失業し、以来短期の仕事をしているもののお金が尽きたという若い女性もいた。相談会の翌週、彼女の生活保護申請に付き添った。その他、家族関係についての相談や労働問題、DV問題など、多くの女性たちの困りごとに耳を傾けた。

いろんな話をしながら改めて思ったのは、女性だけで安心して相談できる場の重要性だ。「男性がいることで生まれる遠慮」はいちいち言語化できないくらい無数にある。

さて、明日も相談会で出会った女性に同行して役所に行くことになっている。女性たちの「助け合い」は、始まったばかりだ。

(雨宮処凛・『週刊金曜日』編集委員。2021年3月26日号)
※大型連休にあわせて過去記事を掲載します。

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