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原発避難者・千葉訴訟、国の責任認める 
東京高裁

添田孝史|2021年3月12日1:47PM

2月19日の判決直後、東京・霞が関の裁判所前で報告する原告側弁護士ら。(撮影/添田孝史)

東京電力福島第一原発事故で千葉県に避難した43人が国と東電に損害賠償を求めた控訴審で東京高裁(白井幸夫裁判長)は2月19日、国と東電に同等の責任を認める判決を言い渡し、国に責任はないとした一審千葉地裁の判決を覆した。同様の集団訴訟の高裁判決では、仙台高裁(2020年9月)は国の責任を認め、東京高裁(今年1月)は国の責任を否定して判断が分かれており、3件目となる今回の判決が注目されていた。

争点は、大津波を引き起こす津波地震の発生を福島沖で予測できたかどうかだった。

土木学会が策定した「津波評価技術」(02年2月)は、津波地震は三陸沖や房総沖だけで発生し、福島沖では想定しないと書いていた。一方、政府の地震調査研究推進本部(地震本部)の長期評価(02年7月)は、三陸沖から房総沖までのどこでも、津波地震が発生する危険性があると予測していた。

東京高裁は、津波評価技術と長期評価の二つは、科学的信頼性において同等と判断。国は津波評価技術にもとづいて原発の安全性を審査していたが、同等の信頼性がある長期評価を判断の基礎としないことは「著しく合理性を欠く」として、国の責任を認めた。

仙台高裁は、津波評価技術について、とりまとめた委員が電力会社員に偏っていることから、原発を規制する方法としては「不向き」と見なし、長期評価を重視した。一方、1月の東京高裁は、津波評価技術の方が信頼できると考えていた。今回の東京高裁は、両者を「同等」と見なした。三つの高裁判決は、ほぼ同じ証拠を見ていたのに、土木学会(津波評価技術)と国の地震本部(長期評価)、どちらを信頼するかで異なる判断をしたことになる。国の1勝2敗となったこれらの高裁判決について、最高裁が今後どのような判断を下すのか、注目される。

(添田孝史・ジャーナリスト、2021年2月26日号)

 

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