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「敵基地攻撃能力」閣議決定に抗議 
国会前で「ダイ・イン」

片岡伸行|2021年1月20日8:20PM

12月17日、国会正門前での抗議の「ダイ・イン」。(撮影/片岡伸行)

「ミサイル阻止」という文言を封印しながら、菅政権は12月18日、イージス艦2隻の新造に加え、敵の射程圏外から攻撃できる「スタンド・オフ・ミサイル」として国産で開発する方針を閣議決定した。イージス艦2隻新造の経費は明かされていないが、スタンド・オフ関連だけで来年度予算案に484億円が盛り込まれている。

市民団体「STOP敵基地攻撃能力アクション」は前日に国会正門前で、当日は首相官邸前で閣議決定に抗議する行動を展開。国会議員を含む85人(主催者発表)が集結した国会正門前では、死体を模して横たわる「ダイ・イン」を繰り広げ「殺すな!」と訴えた。

マイクを握った憲法学者の永山茂樹さん(東海大学教授)は「かつては個別的自衛権、いくら何でも先制攻撃はしないだろうとされてきた。しかし、2015年からは集団的自衛権行使付きの敵基地攻撃論に。先制攻撃も可能となる、かなり恐い状況」と指摘。「安保関連法に反対するママの会@ちば」の村田マユコさんは「軍備に巨額のおカネをかけず、コロナ禍で困っている人を救ってください。ミサイルに照準を合わせるなどともっともらしい理屈をつけるが、愚の骨頂。私たちは平和で優しい世界を望む」と訴えた。

元自衛官と市民による連携団体「ベテランズ・フォー・ピース・ジャパン」共同代表で元自衛官の井筒高雄さんは「敵基地攻撃とは国家が自衛隊に人殺しを命じること。しかし、こういうものにカネをかけても日本は勝てない。政治家も右翼も現実を見よ。ソフトパワーでテロの芽を摘み、周辺国と仲良くする外交こそ必要」などと述べた。「軍学共同反対連絡会」の小寺隆幸事務局長は敵基地攻撃能力の保有につながる大学での軍事研究を批判した。神奈川県の大学生(22歳)は「これを見逃すと、私も間接的に人殺しに加担する可能性がある」と話していた。

(片岡伸行・記者、2020年12月25日号)

 

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