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痛み想像できぬ「Go Toトラベル」立案者

浜矩子|2020年9月26日4:55PM

「Go Toトラベル」キャンペーンは、実は「Go Toトラブル」キャンペーンだ。そのような指摘が、自民党の内部からさえ出てきているという。名言だ。まったくその通りである。「アベノマスク」に次ぐヒット作だと言っていいだろう。

新型コロナによる災禍が続く中、観光地の皆さんの多様で幅広い痛み苦しみを思えば、胸をえぐられる。彼らが政策による支援に期待をかける思いについては、安直に「よくわかる」などと言うこと自体が、心ないことだと感じる。

だが、そのように感じれば感じるほど、この「Go To」キャンペーンなるものには、どうしても、唖然とするほかはない。藁にもすがる心境の当事者たちのために、政治と政策はこんな回答しか繰り出せないのか。このキャンペーンに乗って、観光客が大挙して来てくれれば助かる。

だが、大挙して来られてしまって、大丈夫なのだろうか。クラスターが起きてしまったらどうするのか。そのリスクに対して、自分たちが責任を押し付けられるのか。受け入れ側の人々は、どんなに揺れる思いに苛まれていることだろう。

このキャンペーンを利用して、どこかに出かけてみようかと考える側もまた、同じだ。少しばかり贅沢な旅行ができれば嬉しい。だが、今の状況の中で、遠出などしていいのか。出かけた先で誰かにとんでもない迷惑をかけることにならないか。そもそも、本当に歓迎してもらえるのだろうか。抜き足差し足、おっかなびっくり遊びに出向く。何とも、心振るえて、神経が磨り減る旅になりそうだ。

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