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ブルーインパルスの違和感

小室等|2020年8月5日9:39AM

 飛行計画は河野防衛大臣の指示で、経費は約三六〇万円らしい。

当日、首相は官邸屋上に出て、職員スタッフたちに取り囲まれて空に向かって拍手を送った。日本海にミサイルを撃ち込んで取り巻きたちに囲まれ拍手を送る、どこかの元首とダブる。

〈皆様けっこう見ておられますね。Facebookにも「わーきれい」とか。いいお天気だし。みんなが同時に空を見るなんて最近ないからいいかも。「国威高揚?」「五輪開会式への伏線?」なんてひねくれた事考えずに、素直に鑑賞しますか〉って、ラサール石井さんも言ってるし。〈戦闘機を「カッコいい」と思う事はある。その気持ちを誰かに利用されない事だ〉とつけ加えながら。

そうね、せっかくみんな感動してるんだし、と思わなくも……。

仕事をご一緒したことのある精神科医のツイートでも、〈今日たまたまそういう病院で仕事で、テラスに出た若手医師たちが「ここにはどうせ来ないよねー」とか言ってたら、年配の女性入院患者さんが、「この病院もコロナの外来や病棟でみなさんがんばったじゃないですか!来ますよ!」と言って、そうしたらほんとに真上飛んで、ちょっとだけウルっとした〉って。僕も実際にこの目で見たらウルっとしちゃうのかな。

でもね、命がけでコロナに対応する医療従事者に、出自が戦闘機という人を殺す道具を使って敬意と感謝を表すという、この違和感。

自宅で紅茶を飲みソファーで寛ぎ、屈託なくステイホームと言ってのけるこの違和感。医療最前線とともにあるとは思えない。

(小室等・シンガーソングライター、2020年6月12日号)

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