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リニア問題、「有識者会議」委員の人選めぐり混迷 
国交省の中立性に深まる不信

井澤宏明|2020年4月14日12:01PM

2019年6月、リニア建設予定地でJR東海の説明を聞く川勝平太知事(中央)。(撮影/井澤宏明)

2027年の開業予定が7年後に迫りながら「最難関」の南アルプストンネルを抱える静岡県での着工さえできないリニア中央新幹線。着工への大きな壁となっているのが、工事により大井川の水が毎秒2トン減るとされる問題だ。

この問題をめぐるJR東海の説明が二転三転し、静岡県との議論が膠着状態に陥る中、「仲介役」を買って出たのが国土交通省だ。今年に入り、JR東海に助言・指導を行なうための有識者会議の設置を提案、委員候補を県に示した。ところが、この人選に県が強く反発し、独自に委員候補の公募を始める異例の展開をたどっている。

国交省が示した候補のうち県が問題視するのは、森地茂・政策研究大学院大学政策研究センター所長(交通政策)だ。JRの前身である旧国鉄出身で、リニア静岡工区などの工事を受注している大成建設の社外監査役も務めている。そのうえリニア計画を推進した「中央新幹線沿線学者会議」で活動し、リニア技術にお墨付きを与えた同省「技術評価委員会」委員長も務めた。16年10月には参考人として出席した衆議院国土交通委員会で、現在も解決していないリニア建設で発生する残土問題について「すでに土捨て場を契約していると聞いている」と発言した。

川勝平太知事は3月13日の定例会見で「有識者会議は中立性が十分に考慮されると思っていたが、強い疑念が抱かれる人が入っている」と同省への不信感を露わにした。県は、地下水などの水循環に詳しい有識者を3月末まで公募、委員候補として同省に推薦する。

これに対し同省の水嶋智鉄道局長は同17日「このような展開になり大変驚いている」と県に不快感を示した。同省はリニア計画を認可、全線開業を早める財政投融資3兆円をJR東海に投入するための法改正を行なった、いわば当事者。仲介役として相応しいのかどうかが改めて問われている。

(井澤宏明・ジャーナリスト、2020年3月27日号)

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