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森友事件「本丸」究明を 
籠池夫妻のみ有罪の疑問

相澤冬樹|2020年3月12日12:19PM

【国策捜査の不当性、そして不正事件の真相究明を】

一審大阪地裁の判決は、籠池前理事長が懲役5年の実刑。諄子さんは起訴内容の一部が無罪になり、執行猶予の付いた懲役3年の判決だった。しかし、この裁判で何が解明されたのだろう?

裁判をずっと傍聴してきて私が感じたのは、「とにかく何が何でも夫妻を有罪にしたい。特に籠池前理事長を実刑にしたい」という検察の強い意向だ。判決はまさにその通りになった。

森友学園の小学校建設に関わった設計業者や建設業者は詐欺の共犯とされたが、逮捕も捜索もされず罪に問われていない。籠池夫妻だけが逮捕され約300日間にわたって勾留された。この点を籠池氏は「口封じのための国策捜査だ」と法廷で訴えた。

何の口封じか? 森友事件の本丸である国有地の不当な値下げだ。小学校の用地として財務省近畿財務局が学園に売った国有地は8億円も値下げされていた。

財務省は「地中のごみの撤去費用だ」と国会答弁したが、そんなごみがある証拠はない。そして小学校の名誉校長には安倍首相の妻、昭恵さんが就任していた。「そこの経緯をしゃべられたくないから別件で逮捕したのだ」と籠池氏は訴えた。

不当な値引きを行なった近畿財務局による背任。その経緯を記した公文書の改竄を指示した、財務省の佐川宣寿理財局長(当時)ら。安倍昭恵さんの名前はすべて消された。

こうした森友事件の本丸にあたる不正の刑事責任は一切問われていない。裁判にならないから真相は解明されない。だから“国策捜査”を訴える籠池氏の主張にも一定の理があると感じるのだ。

籠池前理事長は翌21日の夜8時過ぎ、判決から2日ぶりに保釈された。

拘置所前で諄子さんが「お帰りなさい」と出迎える。籠池氏は集まった報道陣に「連休明けまで出していただけないかと思っていました」とおどけた後で表情を引き締め、「判決はまさに国策捜査の筋書きに沿ったものだと思います。もちろん控訴します。最高裁まで闘います」と宣言した。

籠池夫妻への捜査が不当なものかどうかは、さらに二審で争われることになる。だがこの裁判は森友事件の本丸とは何の関係もないことを忘れてはならない。大切なことは、国有地の不当な値引き、公文書の改竄。その真相こそ究明すべきなのだ

(相澤冬樹・『大阪日日新聞』論説委員、2020年2月28日号)

 

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