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香港で最大規模のデモ開催 
80万人が自由と法の支配訴え

初沢亜利|2020年1月7日10:34AM

香港警察総部(警察庁)前を通過するデモ隊。橋の上では複数の警官が監視していた。この橋からの撮影は許されなかった。(撮影/初沢亜利)

6月の100万人デモから半年を迎えた香港では12月8日、主催者発表で80万人が香港島で平和的デモ行進をした。11月の区議会議員選挙に続き、市民が明確な政府批判の意思を示す1日となった。

夜10時までデモ行進の許可は下りていたが、ここ数カ月は香港警察が突如終了時間を早め、その結果勇武派と激しく衝突する、というケースが続いていた。しかし、この日は大きな衝突もなく平和に1日が終わった。要因はいくつか挙げられる。主催者の民主派団体「民間人権陣線」と香港警察の“釘の刺し合い”で双方が自重したこと。11月に香港理工大学を警察が包囲したことで2000人を超える勇武派が逮捕され、限られた最前線の要員が不足したことだ。選挙で勝利した議員の活動をしばらくは見守ろう、という期待感が維持されていることもある。

15時すぎに始まった行進は半数が終了地点にたどり着く前に日没を迎えた。市民は一斉にスマホのライトを点灯し、目前の歩道橋に立ちすくむ警官隊に抗議の意思を示した。デモのルートにはいくつかの橋が架かっているが、行進の全体が見渡せる眺めのいい橋を警察はここ数カ月封鎖している。市民やプレス(報道)を入れないことで、規模の大きさが分かる写真を撮らせない狙いがある、とデモ参加者は推測していた。

自由と法の支配、民主化を求める香港市民の情熱は衰えを知らない。血縁、地縁社会ではない香港では、みな個人の意思で行進に参加している。勇武派と平和的抗議者が分断することなく2020年も引き続き闘いを継続する。その強い意思の表れを感じた。勝てる見込みは少ない。しかし負けない闘い方を模索しながら、来年もさまざまな戦術を編み出し、国内外に訴えかけていくことだろう。

(初沢亜利・写真家、2019年12月13日号)

 

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