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「伊達判決」覆した最高裁判決の“いかさま性”問う 
砂川事件国賠訴訟始まる

片岡伸行|2019年7月1日4:40PM

口頭弁論終了後、司法記者クラブで会見する原告と弁護団。(撮影/片岡伸行)

「駐留米軍は違憲、基地侵入は無罪」との伊達判決(1959年3月・東京地裁)を覆した最高裁判決は“いかさま”なのか――。砂川事件国家賠償請求訴訟の第1回口頭弁論が6月12日、東京・霞が関の東京地裁(大嶋洋志裁判長)で開かれた。「統治行為論」を初めて持ち出し、駐留米軍の憲法判断を回避した当時の田中耕太郎最高裁長官と日米両政府の“暗部”が問われる注目の裁判だ。

最大の注目点は、機密指定が解かれた米国の公文書により2008年以降明らかになった、59年当時の田中長官による駐日米国大使らへの裁判情報漏洩を国が認めるかどうか。原告側は、判決前に裁判情報を当事者(米国)に漏らしたのは憲法37条が定めた「公平な裁判所の裁判を受ける権利の侵害だ」とし、3人の原告に各10万円の慰謝料などを求めている。

これに対し国側は同日提出した答弁書で、判決は確定しており、かりに田中長官の不法行為があったとしても時効が成立しているとして却下ないし棄却を求めた。一方、公文書で公然化している田中長官と米国側との“密会”や、当時の最高裁内部の評議内容を明かす書簡(59年11月5日付ほか)の存在など一連の事実経過については「現在事実関係を確認中であり、認否を留保する」とした。

弁論終了後に司法記者クラブで会見した原告訴訟代理人の武内更一弁護士は「田中長官の行為は日本の司法を売り渡したもので、“いかさま判決”だ。国はその責任を取らなくてはならない」と指摘。砂川事件の元被告人で原告の土屋源太郎さんは「この最高裁判決が沖縄をはじめ国内の米軍基地裁判の“壁”になっている。憲法違反を行なった最高裁判決をそのままにしておけない」と述べた。「事実関係を確認中」とする国は次回第2回口頭弁論(10月2日)までに「確認」の上、認否を明らかにする書面を提出する予定だ。

(片岡伸行・記者、2019年6月21日号)

 

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