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侮れない改元の麻酔的効果

西川伸一|2019年5月15日7:00AM

4月1日、配布される号外に手を伸ばす大勢の人たち。(東京。提供/AP・AFLO)

4月1日、改元狂燥曲がこの国を駆け抜けた。一番はしゃいだのは安倍晋三首相である。

11時41分に菅義偉官房長官が新元号「令和」を発表した。この会見は約7分であり、まず冒頭の約2分の内で「令和」と書かれた額が左右交互に2回ずつ掲げられた。その後1分半ほど新元号の決定に至る手続きと典拠が簡単に説明された。

そして菅氏はこう述べた。「この新元号に込められた意義や国民の皆さんへのメッセージについては、この後、安倍総理の会見があります」。さらに記者が「令和」が選ばれた理由を問うたのに対して、「この後総理ご自身から(略)直接お伝えをすることになっております」と答えた。

こうして国民に気を持たせたあと、12時5分から首相は記者会見を開いて約18分にわたって談話を発表した。「この『令和』には、人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つという意味が込められております」「悠久の歴史と薫り高き文化、四季折々の美しい自然、こうした日本の国柄をしっかりと次の時代へと引き継いでいく」など、『美しい国へ』(文春新書)の著者らしい聞こえのよい文学的レトリックが次々と繰り出された。

同日夕方以降、首相は生放送や録画でテレビ出演を重ねた。これほどかと眉をひそめる露出ぶりである。前回の改元は天皇の死去に伴うものだった。だが今回は生前退位なので、「慶事」として心置きなく「利用」できるのだ。

一強長期政権に対する「飽き」から国民の気分を一新させ、その目立つ綻びを覆い隠す格好の政治ショーになった。社民党の又市征治党首は「さまざまな批判を元号で全部そらさせようとしている」(4月2日付「朝日新聞デジタル」)と的確に批判した。

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