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東電株主代表訴訟、22兆円の損害を請求

脱原発弁護団全国連絡会|2019年3月4日6:13PM

東電株主代表訴訟第45回口頭弁論期日後の記者会見。(1月31日、司法記者クラブ。撮影/脱原発弁護団全国連絡会)

株主代表訴訟は役員の責任追及について、株主自ら会社のために取締役に対する会社の権利を行使する訴訟である。取締役の責任追及は本来会社が行なうものだが、会社が責任追及を怠る事態が考えられるので、株主が会社のために取締役に対し訴えを提起することが認められている。

東電株主代表訴訟では、取締役らの任務懈怠(けたい)により福島第一原発事故を引き起こし、東京電力に損害を与えたとして「脱原発・東電株主運動」の株主たちを中心に東京地裁に提訴。当時5兆5045億円の訴額は2016年9月に9兆0482億1800万円、現在は22兆円に拡張している。この数字は2016年12月の経産省東電改革・1F問題委員会の見積もりに従っている。

史上最高額の訴額だが、法的責任を明らかにし、原発の過酷事故を起こせば、取締役は国家予算規模の損害賠償請求を起こされうることから、原発再稼働の歯止めにし、廃炉につなげていくのが大きな目的である。この意味で、差止訴訟とは別の観点からの脱原発の訴訟である。東京電力は被告らに補助参加した。

1月31日の第45回口頭弁論期日。法廷では甫守一樹弁護士が原告らの主張について口頭で説明をし、歯抜けの防潮堤しかつくれなかったから結果回避可能性はないとの東電の主張に対し、それは事故後に検察が不起訴目的で東電に作らせたものであり、理由にならないと断じた。本件被告でもある勝俣恒久氏、武藤栄氏、武黒一郎氏を被告人とする業務上過失致死傷事件(強制起訴事件)の記録を本件の裁判所へ送るようにお願いした申立がほぼ採用された。刑事事件における争点と本件とは重なっており、今後は証人尋問へと移る。

この日、2013年4月の第6回口頭弁論期日から審理を担当していた大竹昭彦裁判長が、異動により交代することが明らかになった。大竹裁判長は、双方当事者が進行について真摯に対応してくださり、本件の裁判長としての重責が果たせたと挨拶されて期日を終えた。法廷は大竹さんへの感謝の拍手に包まれ、原告らからは、大竹さんに判決を書いて貰いたかったのに残念、今までありがとうとの声も上がった。次の期日でいきなり新たな裁判長になっていることも珍しくはないが、大竹裁判長の挨拶には、この史上最悪の原発事故の責任についてご自身が判断したかったという思いも感じられた。長年担当した裁判長の交代には日本の司法制度の問題点を痛感せざるを得ない。

刑事裁判については本誌2019年1月11日号でも報告されているように、3月12日、13日には弁護人の意見陳述が行なわれ、結審の見込みである。

関係者がやりとりをした膨大なメールや会議議事録、刑事裁判での尋問調書等から、最新知見である地震調査研究推進本部の長期評価を津波対策に考慮するのは当然であったこと、取り入れる方針が「御前会議」、続いて常務会で了承されたこと、その後、地元自治体や市民から原発停止を求められるかもしれず、柏崎刈羽原発の停止により収支が悪化し、工事費を下げるために津波水位の低減を検討しようと対策を先送りにした事実が詳らかになった。

このように福島第一原発が想定される津波に対する安全性を有していないことを認識しながら、何らの津波対策を取らないまま事故をひき起こした取締役らの責任は明らかである。

(脱原発弁護団全国連絡会、2019年2月22日号)

※編注:3月13日の公判期日は取り消しとなりました。

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