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国民民主が見習うべきは自民の老獪さ

西谷玲|2018年6月20日5:52PM

希望の党と民進党が合流して「国民民主党」が発足した。これで日本の国会に議席を持つ四つの政党に「民主」がつくことになった。自由民主に立憲民主、国民民主に社会民主。何というか、民主主義のバーゲン状態で、ありがたみも感じなくなってきてしまいそうだ。

国民民主は合流にあたり、立憲にラブコール。一緒になろうと相当持ちかけたものの、立憲からは断られた。立憲からすれば、もちろん数の力は重要で、巨大与党に対抗するには弱小がいくつあってもしょうがないというのは百も承知。ただ、先に形ありき、合流ありきでは絶対に国民の理解は得られない。何をしたいのか、どういう未来、国家像を描くのか、といった根本で一致するのが先決、といったことが理由だ。

国民民主、せっかく合流はしたものの各種世論調査では支持率1%程度で、早くも来年の参院選で議席は取れるのか、早期に消滅してしまうのではないかといった懸念がささやかれている。

国民民主党が「形ありき」の思考から離れられず、自分たちの何が問題なのか、どうして支持されないのかについてわかっていないことが端的にわかるエピソードがある。

それは、国民民主が結成にあたり「総務会」を設けたことである。総務会とは自民党の最高意思決定機関であり、それをモデルにしたのだという。総務会での決定に従わねば罰則があるのだという。

ご存じのとおり、旧民主党は「決められない」ということが問題となり、一度決めたことがひっくり返されたり、なかなか最終決定に至らないことが多く見られた。

しかしこれは意思決定機関の問題なのだろうか?

旧民主党時代、政権与党にあった末期に「決められない」ことばかりだったときにも総務会の設置が検討されたことがあった。その時の光景がよみがえるようだ。

先ほどの問いの答えは言うまでもない。意思決定機関の問題ではない。旧民主党時代、最高意思決定機関としては常任幹事会があったし、自民党の総務会は罰則があるから皆従うのではない。

自民党総務会の意思決定は「全会一致」が原則だが、別に全員が賛成しているかどうか確認するわけではなく、議長である総務会長が「全会一致」だとみなしたらそれでいいのである。もちろんその場合、実質的に全会一致でない場合だってある。だが、そこで矛をおさめるのが大人というか保守というか政治というかの知恵なのだった。

それが、国民民主の場合は「自民党のいい部分は見習うべきだ」(大塚耕平氏)と、設置を決めたのだという。むしろ見習うべきは、自民党の老獪さというか、なんだかんだ言いながらも与党である利点やうまみを保持するためには最後には、不満を内包しながらも崩壊せず、皆のメンツをたてながら絶妙なバランスを保って意思決定をしてきた点であろう。

そのやり方が日本の現況や未来にとって良いことか悪いことなのかはさておき、それが政治なのである。そこがわかっていなくて、自分の言いたいことばかり主張して、幼稚さが直らなければ、いくら総務会を設置してシステムを整えたとしても何も変わらないだろう。勘違いの極みである。

(にしたに れい・ジャーナリスト、2018年6月8日号)

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