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『産経』が櫻井よしこ氏の記事訂正
『朝日』元記者が会見「報道は事実に基づくべき」

文聖姫|2018年6月19日10:30AM

「報道や論評は、事実に基づくべきだ」と述べる植村氏(中央)。(撮影/文聖姫)

38行。訂正としては異例の長さだった。『産経新聞』は6月4日付で、ジャーナリスト、櫻井よしこ氏のコラムにおける記述の誤りを認め訂正した。元『朝日新聞』記者で韓国カトリック大学客員教授の植村隆氏の要求に応じた。

櫻井氏の誤った記述が掲載されたのは2014年3月3日付の『産経新聞』コラム「美しき勁き国へ 真実ゆがめる朝日報道」。櫻井氏は、植村氏が『朝日新聞』大阪本社版1991年8月11日付で書いた元日本軍「慰安婦」の記事について次のように非難した。

「この女性、金学順氏は後に東京地裁に訴えを起こし、訴状で、14歳で継父に40円で売られ、3年後、17歳のとき再び継父に売られたなどと書いている。植村氏は彼女が人身売買の犠牲者であるという重要な点を報じず、慰安婦とは無関係の『女子挺身隊』と慰安婦が同じであるかのように報じた。それを朝日は訂正もせず、大々的に紙面化、社説でも取り上げた。捏造を朝日は全社挙げて広げたのである」

ところが、訴状には14歳で「継父に40円で売られ」、17歳で「再び継父に売られ」といった記述はない。櫻井氏は訴状にないことを書いて、植村氏の記事を誹謗中傷し、「捏造」記事と断じた。

植村氏は、事実に反する記事で名誉を毀損されたとして、記事の訂正を求めて東京簡易裁判所において産経新聞社と調停を行なってきた。ただ、訂正記事には植村氏への謝罪やお詫びはない。

4日に東京・霞が関の司法記者クラブで開かれた記者会見で植村氏は「櫻井よしこ氏が私の記事を『捏造』と呼ぶ根拠が大きく崩れた。事実に基づかない『慰安婦』報道を正すという点で前進があった」としながらも、『産経新聞』が訂正記事で、「金学順氏が『強制連行の被害者』ではないことは明らか」という根拠に基づかない主張を載せたことについては「今後も、追及し続けていく」と述べた。

(文聖姫・編集部、2018年6月8日号)

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