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改憲派が東京で集会
安倍首相「自衛隊」明記を再度強調

永野厚男|2018年5月25日11:55AM

5月1日、東京・永田町の憲政記念館で語る斉藤鉄夫氏。右は細田博之氏。(撮影/永野厚男)

「いまだに多くの憲法学者は自衛隊を憲法違反であると言い、ほとんどの教科書にその記述があり、自衛官の子どもたちもその教科書で学ばなければならない。(略)憲法に自衛隊を明記し違憲論争に終止符を打つことは、今を生きる私たちの責務だ。(略)安倍晋三」

このメッセージを自民党の柴山昌彦衆院議員が代読したのは、改憲派の国会議員で構成する新憲法制定議員同盟が5月1日、東京・千代田区の憲政記念館で開いた「新しい憲法を制定する推進大会」(中曽根康弘会長。主催者発表で第2会場含め1500名出席)の冒頭部分だ。同党憲法改正推進本部長の細田博之衆院議員も、中学校社会科の全教科書中、育鵬社を除く6社が自衛隊合憲論と違憲論を併記しているのを非難。合憲論だけ教え込ませる意図が明白だ。

公明党の斉藤鉄夫衆院議員は、安倍氏も使用した「国民の理解」「幅広い合意形成」を数回繰り返した。斉藤氏はこの意図を、国民投票で過半数を得るため、と説明。だが自民党の船田元衆院議員は5月3日、BSフジ「プライムニュース」で「まず9条2項を残し自衛隊を明記する発議で国民投票をし、次に2項を削る2段階改憲論」を主張。衣の下から鎧が見えた。

細田氏は「教育については憲法で『私学助成を禁止する』と書いてある」が、「すべての私学が政府によって助成を受けている。(略)条文上おかしい」とも述べた。

だが憲法第89条「公金その他の公の財産は、(略)公の支配に属しない慈善、教育(略)の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない」の下、私立学校は国公立学校と同様、教育基本法第6条第1項の「公の性質を有」し、私立学校法により「公共性」を求められ、1976年4月施行の私立学校振興助成法により、助成を受けている。事実を調べず憲法に難癖を付ける細田氏に、憲法を語る資格があるのか。

(永野厚男・教育ジャーナリスト、2018年5月11日号)

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