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米国政界と「議論のテーブルに着けた」辺野古新基地の代替案

提言内容を説明するND評議員の元沖縄タイムス論説委員・屋良朝博氏。東京・千代田区。(写真/小宮純一)

沖縄・辺野古への新基地建設を止めようと、日本の民間シンクタンク「新外交イニシアティブ(ND)」が米ワシントンを訪れ、米連邦議会関係者らに提言した海兵隊の運用を見直す代替案の報告会が8月29日、東京・千代田区内で開かれ、市民ら約90人が参加した。ND事務局長の猿田佐世弁護士は「米国務省職員や米議会上・下院補佐官などに接触でき、初めて軍事に関する議論のテーブルに着けた感触を得たのが最大の成果」と述べた。

「辺野古が唯一の選択肢ではない」として、NDが政策提言したのは(1)在沖米海兵隊の前方展開部隊「第31海兵遠征部隊(31MEU)」の拠点を沖縄以外に移転(2)アフガン攻撃、イラク戦争で、国際問題は武力では解決できない現実を受け止めた米政府が、米軍を使って貧困や格差の解消に取り組んでいることや、自衛隊も頻繁に国内外の災害救援に出動している現実から日米合同の任務部隊「日米JOINT MEU for HA(人道支援)/DR(災害支援)」を常設(3)同部隊のアジア全域をエリアとする連絡調整機能を沖縄に置く―など。

辺野古が唯一ではないことを、「米国発」の形で日本政府に逆提言させることを目指す新たな挑戦だ。普天間基地移設問題に対する代替案として、今後はコスト面でもND案の有利性を示していくことが課題だろう。

(小宮純一・ジャーナリスト、9月8日号)

大型風力発電による健康被害リスクを複数の団体や識者が警告

北海道石狩市では新港地区に46基もの大型風力発電所計画が集中し、低周波音によって小樽市や札幌市を含む広範囲で健康被害が発生するという予測もある。

市民団体「石狩湾岸の風力発電を考える石狩市民の会」の会員は、7月下旬、4基の着工を確認。8月20日には札幌からの参加者を含む市民約30人が参加して石狩市中心部でデモを行ない、風車による健康被害のリスクを訴えた。

北海道自然保護協会も、8月9日、札幌市長宛に要望書を提出。札幌市として独自に低周波音の調査を行なうほか、被害が出た場合の対応について事業者と事前に協議すること、協議会には市民代表を参加させることなどを求めた。

日本社会医学会は、8月19日、北海道医療大学で「北海道のエネルギー問題と健康」をテーマにシンポジウムを開催。北海道大学の研究者3名が講演を行なった。

環境創生工学部門教授の松井利仁氏は、日本では健康影響を考慮せずにエネルギー政策が決定され、公害事件後も経済的利益が判断根拠になっていると批判。有機水銀説を否定して対応が遅れた水俣病と、風力発電の低周波音問題の類似性を指摘した。

情報科学研究科教授の北裕幸氏は、家庭で利用されるエネルギーの用途は冷暖房や給湯、調理などの熱利用が過半数を占めているのに、それらを主に電力として供給している点を指摘した。

大気環境保全工学研究室助教の山形定氏は、発電時に発生する熱も無駄なく利用する小型の木質バイオマスガス化発電の例と、再生可能エネルギー固定価格買取制度によって大量の木質バイオマス発電所が稼働し、間伐材の価格が上昇している問題を報告。間伐材から作る家畜の敷料の価格高騰、過剰伐採による森林資源の枯渇も懸念されているという。

「経済ベースでエネルギー問題を考えるのではなく、地域住民が主体となって事業を行なう必要がある」と山形氏は考えている。

(加藤やすこ・ジャーナリスト、9月8日号)