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安倍政権の隠蔽体質があらためて露呈 加計問題、特区会議の議事録を改竄か

8月2日、福島で講演した前川喜平・前事務次官。(撮影/横田一)

「加計ありきではない」と言い張る安倍晋三首相の主張が根底から崩れ始めた。「国家戦略特区諮問会議の議事もすべて公開」「プロセスに一点の曇りもない」と強調していたが、肝心要の議事録が一部隠蔽(改竄)された可能性が高いことが、「特区会議に加計幹部 議事要旨に出席・発言の記載なし」と銘打った8月6日付『朝日新聞』の記事で明らかになったのだ。

愛媛県・今治市が国家戦略特区への提案を申請した翌日の2015年6月5日に開かれた諮問会議のワーキンググループ(WG)のヒアリングで、同県と同市から3人が出席し、質疑応答をしたが、この場に加計学園幹部が出席して発言もしたのに、議事要旨に記載されていなかったのだ。

この報道を受けて翌日の7日、民進党の「加計学園疑惑調査チーム」が会合を開き、塩見英之内閣府参事官を問い質した。塩見氏は「(加計学園幹部は)『説明補助者』という非公式な立場だった。発言も公式なものではないため、記載していない」と説明したが、調査チーム共同座長の桜井充参院議員は納得せず、「結局、加計ありき、加計を隠したがることばかり」「本当は『非公開で』というやりとりがあったのに、議事要旨に『公開でいいか』の問いに『はい』と記載したのは改竄ではないか。行政文書の信用、内閣府の信頼の問題に関わる」と追及。議事録全文の提出を求めた。

また議事要旨には、『朝日新聞』が報じた加計学園幹部の発言(教員確保の見通しやカリキュラムの特徴についての質疑応答)が入っていないことから、「意図的に削除したのでは」「なぜ公開する内容を調整しなければならないのか」と疑問が噴出。調査チームの次回会合(10日)で速記録などの議事録全文や加計学園側の資料の提出を求めたが、情報公開されることはなかった。

安倍政権の隠蔽体質が改めて露呈した形だ。菅義偉官房長官も会見で「加計学園は共同提案者ではなく、(説明)補助者。ルールに基づいている」と強調。WG座長の八田達夫氏も同じ内容の弁明をして事足りている。「加計学園の獣医学部新設が国家戦略特区に相応しいのか」「閣議決定をされた“石破4条件”を満たしているのか」という検証をするための情報が欠落している状態なのだ。

【規制緩和論者ばかり】

2日の福島市内での講演で前川喜平・文部科学前事務次官は、こう指摘した。

「文科省は『今治市から提案のあった内容は、他の大学ですでにやっていることなので、(石破)4条件に合致していない』ということは繰り返し言っている。それに対して『新しいものだから認めるべきだ』という意見が出たのですが、きちんとした議論はなされていない。ワーキンググループのメンバーは規制緩和論者ばかりで、獣医学の“獣”の字を知っている人は1人もいないのです」

獣医学の専門家の鹿児島大学・岡本嘉六名誉教授も、「要請があれば二つでも三つでも獣医学部を承認」という首相発言を「何の根拠もない素人の戯言」などと批判していた。「日本には国際的な獣医学部が一つもなく、欧米に比べてレベルが低いことが問題になっていた。それで文科省はレベルアップのために大学再編による『共同獣医学部』構想を進めていたのに、内閣府から『国家戦略特区で獣医学部新設』という横槍が入った。だから文科省が怒り、前川喜平・前事務次官が怒りの告発をした。安倍首相は共同獣医学部構想に逆行することを進めたのです」(岡本氏)。

「共同獣医学部」の構想は現在進行中で、文科省は資料で現状を示して諮問会議で説明をしていた。前川氏が「岡本名誉教授の言う通り、獣医学部新設は日本の獣医学部のレベル低下を招く」と懸念するのはこのためだ。

獣医学の専門家の意見を聞かない“素人集団”が、議事録を隠蔽・改竄しながら獣医学部新設をゴリ押しした実態が浮き彫りになる。文科省の大学設置・学校法人審議会は9日、加計学園の獣医学部新設を“認可保留”としたが、加計問題の疑惑は深まるばかりだ。

(横田一・ジャーナリスト、8月18日号)